旧ソ連構成国のアゼルバイジャンとアルメニアの係争地。地理的にはアゼルバイジャン領内に位置するが、アルメニア人が多く暮らし、旧ソ連時代は自治が認められていた。ソ連崩壊に伴い、アルメニア人勢力が本土との統合を目指す独立運動を始め、アゼルバイジャン系住民に対する民族浄化も起きた。
アゼルバイジャンは2020年、軍事作戦で広範な領域を奪回、今月19日からの戦闘でアルメニア人勢力の牙城ステパナケルトを事実上陥落させた。(2023年09月21日)
旧ソ連のアゼルバイジャンとアルメニアの係争地ナゴルノカラバフで紛争が再燃したが、わずか1日で停戦に至った。
―どんな土地?
南カフカス地方の山岳地帯で、キリスト教(正教)を信奉するアルメニア系住民が暮らす。イスラム教シーア派が主体のアゼルバイジャンに囲まれ、ソ連時代は一つの国なので問題はなかった。
―近年も交戦した。
1994年の停戦後、最大の衝突が2020年に起き、アゼルバイジャンが事実上勝利。アルメニアは支配地域の多くを失った。今回はそれ以来の緊張激化だ。
―アゼルバイジャンが再び侵攻したの?
アゼルバイジャンは自国の分離独立地域での「対テロ作戦」という建前。アルメニアにとっては歴史的な領土の侵略と映るが、そもそも同胞が住むナゴルノカラバフを「国家承認」してこなかった。日本を含む国際社会もアゼルバイジャン領と見なす立場だ。
―なぜ今なの。
アルメニアは親密なロシアと集団安全保障条約も結んでいる。だが、3年前のアゼルバイジャンとの交戦ではプーチン政権の支援を受けられず、敗北に不満がくすぶっていた。最近は「飛び地」となったナゴルノカラバフとアルメニア本土を結ぶ人道回廊が、軍事物資輸送を疑うアゼルバイジャンによって封鎖。双方の緊張が高まった。
―とにかくアゼルバイジャンは強気だ。
ロシアはウクライナ侵攻で手いっぱいだ。後ろ盾を得られずにいら立つアルメニアは、米国と軍事演習を行った。敵の結束が弱まったことで、アゼルバイジャンが軍事行動に出る余地が生まれたもようだ。アゼルバイジャンと文化・言語が近いトルコも作戦を支持している。(2023年09月20日)
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