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【地球コラム】ナゴルノカラバフ、紛争再燃

カフカスの民族対立

 旧ソ連構成国のアルメニアとアゼルバイジャンの紛争が再燃している。舞台はナゴルノカラバフ。イスラム教徒が多いアゼルバイジャン領内にありながら、キリスト教徒のアルメニア系が主体の分離独立地域だ。かろうじて停戦が保たれているだけで常に緊張状態にあったところ、9月27日に戦闘が勃発。原因については、相手が先に攻撃したと双方が主張している。少なくとも100人以上が死亡した2016年の規模を超え、1994年の停戦合意後で最大の衝突となった。

 山岳地帯にパズルのように国境線が入り組む南カフカス地方で、ナゴルノカラバフは多かれ少なかれ、100年以上も前から民族対立の渦中にあった。ソ連崩壊前の88年から6年間で推定3万人が死亡し、その後も数年ごとに衝突が繰り返されたが、今回は存在感を増す地域大国が「兄弟国」アゼルバイジャンを積極支援する「トルコ・ファクター」が色濃く出ている。アルメニアに近いロシアも「リビアやシリアの戦闘員が投入されている」(外務省)と暗にトルコを非難し、緊張の度合いに拍車をかけている。(時事通信社・前モスクワ特派員 平岩貴比古)

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