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東京五輪とは何だったのか
今から数十年後、あの夏を振り返るときに私たちはどんな言葉で語るのだろうか。2021年に開催された「東京2020オリンピック」のことである。世界中を襲った邪悪なウイルスの影響で史上初めて1年の延期を余儀なくされたスポーツの祭典は、最後までやまなかった反対意見を押し切って開催された。それが正しかったかどうかは後世の判断も待つことになりそうだが、確かに一つ言えることがある。あの夏、私たちの知らない場所において、人生の尊い瞬間と未来への輝く希望が生まれていたという事実だ。
「東京パラリンピックで金 国枝慎吾に所属企業が1億円の報奨金」
東京2020パラリンピック大会が閉幕して数日後、こんなニュースの見出しが目に飛び込んできた。車いすテニス男子決勝で、国枝選手が見せた心技体の強靭さ。その感動が鮮明に残る中、「1億円」という数字のインパクトは絶大だった。そして、東京2020大会が、パラリンピックにとって大きな変化の節目の大会となったことを実感した。<続きを読む>
新型コロナウイルスの影響により異例の無観客で開催された東京五輪・パラリンピックで、テレビをはじめとするメディアが果たす役割は大きかった。同時に、オリパラ報道の根本的な在り方など検討すべき課題も浮かび上がったようだ。元日本民間放送連盟職員で、放送法やジャーナリズム論を専門とする立教大教授の砂川浩慶さん(58)に、放送メディアに対する観点などについて語ってもらった。
東京五輪・パラリンピックは新型コロナウイルスの影響で国内外の一般客を会場に入れず、大会参加者の行動も制限する異例の形で行われた。開催が大きな感染拡大につながらなかったとの評価がある一方で、世界の人々が一堂に会して相互理解を深め、平和に貢献することを重視してきた五輪精神が十分に体現できなかったとの見方もある。大会後、五輪研究で著名な筑波大特命教授の真田久さん(65)に語ってもらった。
東京五輪が今夏、新型コロナウイルスの感染拡大に伴う緊急事態宣言下で実施され、大きな混乱がなく終了した。6月まで日本オリンピック委員会(JOC)理事を務めた筑波大教授の山口香さん(56)は、開幕前からこの時期の開催に疑問を呈してきた。JOC理事としては異例の立場をとり続けたことでも注目を集めた。柔道の元世界女王でもある山口さん。国際オリンピック委員会(IOC)が掲げるジェンダー・イコーリティー(平等)のテーマと合わせ、率直な思いを聞いた。
東京パラリンピック開会式のアトラクションで演技する和合由依さん(中央)=2021年8月24日、東京・国立競技場【時事通信社】
新型コロナウイルス感染拡大の影響で、東京五輪に続き無観客で開催された東京パラリンピックが5日、閉幕した。障害者スポーツへの関心を高め、共生社会実現のきっかけになると期待されたパラリンピックをどう総括すべきなのか。自らも全盲の障害を持つ社会学者(障害学)の星加良司・東京大准教授にオンラインで話を聞いた。(時事通信社会部…
東京五輪の卓球混合ダブルスで金メダルを決めて歓喜する伊藤美誠(左)水谷隼組=2021年7月26日、東京体育館【時事通信社】
「やっぱりオリンピックは面白いねえ」
東京五輪の期間中、10人近い人物からそんな電話やメールをもらった。
が、「オリンピックは面白い」と言った人物に対して、私はその都度言い返した。
「間違っちゃいけない。オリンピックが面白いんじゃない。スポーツが面白いんだ」<続きを読む>
閉会式で平等に並んだ参加国・地域の旗。五輪の理念を象徴するシーン=2021年8月8日、東京・国立競技場(EPA=時事)【時事通信社】
世界を襲う新型コロナウイルスのパンデミック下で行われた東京五輪は、歴史にも日本社会にも大きな傷と損失を残した。「競技会」は行われても、五輪運動の根幹が失われ、祝福されない祭典。聖火が消えた今、昨年から3回にわたってこの五輪を語ってもらった坂上康博一橋大大学院教授(スポーツ社会学)とともに考えた。(時事通信社 若林哲治…
双葉駅前で行われた聖火リレー=2021年3月25日(山田健太氏提供)【時事通信社】
2021年3月25日、筆者はJR常磐線双葉駅前に来ていた。
1964年五輪開催に向けて大きく変化した東京の姿を描いた開高健『ずばり東京』(現在は光文社文庫版が入手可能)にならって筆者は2020年五輪前の東京を取材し、『ずばり東京2020』(筑摩書房)を刊行している。その著作では延期にならなければ五輪が開催されていたはずの2020年7月までしかカバーできなかったので、1年遅れの開催に向けて福島から再出発した聖火リレーからもう一度取材を再開しようとした。<続きを読む>
東京五輪のスケートボード・ストリート決勝でトリックを成功させて喜ぶ西矢椛=2021年7月26日(AFP時事)
五輪開催中にあるフレーズが大きな反響を呼んだ。
正確に言えば、ネット上で拡散されて「バズった」のだ。念のため記せば、「バズる」とは、インターネットやSNSを通じて多くの人が関心を寄せたということである。<続きを読む>
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