誰も考えたくない「次の震災」について考える

必ずやってくる「次の震災」

 「日比谷、大手町はかつて入り江や川を埋め立てた場所で地盤はズブズブです。安全性が十分確認されていない超高層ビルを建て、その最上階でふんぞり返っている社長さんたちはおばかさんです」-。

 名古屋大学の福和伸夫教授(建築耐震工学)は辛辣(しんらつ)だ。超辛口な内容をとびきりやさしく書いた本を刊行した。『次の震災について本当のことを話してみよう。』(時事通信社)。その内容を紹介してもらった。

 「南海トラフ地震は『いつか来る』のではなくて『必ずやって来る』。首都圏直下地震も懸念されます。これまでの地震を『リスク』『クライシス』とすれば、そこで起きるのは『カタストロフィー』(破滅)です」。

 南海トラフ地震は、東海地震、東南海地震、南海地震の三つの地震の総称。1707年には三つ同時に、1854年には東海、東南海が起きて32時間後に南海地震が起きた。1944年には東南海地震が起き2年後に南海地震が発生した。百年から百数十年おき。「次」を考えておかなくてはいけない。

 政府の想定では、南海トラフ地震の死者は最悪で32万3000人。関連死を含めればさらに膨れ上がる恐れもある。「日本人2人に1人が被災者になるかもしれない。阪神・淡路大震災や東日本大震災では日本の人口の約5%の人たちが被害に遭いました。関東大震災も被害は関東限定でした。国民の半分が被害に遭うかもしれないというのは尋常ではありません」。

 「関東大震災の『火災』、阪神・淡路大震災の『家屋倒壊』、東日本大震災の『津波』。それを同時に経験する可能性がある。これは誰もが見たくない光景だが、あえて見なければまたわたしたちはまた過ちをおかしてしまい『想定外』と言うでしょう」。

 見たくないものを見ない。大き過ぎて深刻な問題を先送りにする。誰かがやってくれると考え放置する。福和教授はこういう人たちに最悪の事態を考え「我がこと」として受け止めるよう求める。

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