連載
久しぶりに長野県松本市を訪れた。市議選に立候補する友人のためにウグイスボーイ(「カラス男」ともいう)のボランティアを買って出たのだ。松本は、作家の萩原遼さんと勉強合宿で訪れた思い出の地である。応援マイクを握り、ワゴン車で市内を走り回りながら、萩原さんのことを懐かしく思い出していた。そういえば、萩原さんが平壌から追放されて、ちょうど半世紀になる。【続きを読む】
3月のハノイは雨もなく涼しい。過ごしやすいはずなのだが、深刻な大気汚染の影響で毎日が曇り空だった。研究仲間との意見交換会に参加するため久しぶりにベトナムを訪れた。【続きを読む】
「土下座」を強要された経験がおありだろうか。昨年9月のことだ。韓国ソウル・金浦(キンポ)空港に降り立った私は、70代の重鎮研究者2人とともに市内に向かうべくタクシーを探した。空港ビルを出てすぐのスタンドには、すでに数人の列ができていた。【続きを読む】
3月13日から米韓合同軍事演習「フリーダム・シールド(自由の盾)」が実施された。曲がりなりにも北朝鮮と対話が成り立った韓国・文在寅(ムン・ジェイン)政権下では中止措置が取られたため、春季定例演習としては5年ぶりの大規模訓練となった。いまや世界10位の軍事大国にのしあがった韓国が、核大国の米国と協力を深めるとなれば、矛…【続きを読む】
2月8日、朝鮮人民軍創建75周年記念閲兵式(軍事パレード)が開催された。2021年1月の朝鮮労働党第8回大会で策定された「国防科学発展及び兵器システム開発5カ年計画」を着実に進めていることを内外に示した形だが、最大の注目点は「尊敬するお嬢さま」の登壇であった。【続きを読む】
「後継者を育てたい」とジャーナリストの知人がつぶやいた。長年にわたって独自の北朝鮮取材を続けてきた彼は、自らのノウハウを後進に伝えたいが、ジャーナリストを目指す若者はなかなかいないという。畑は違うが同じく北朝鮮を観察対象にしている研究者としても、大きくうなずける話だった。【続きを読む】
北朝鮮研究者・ウオッチャーにとって毎年元日は朝から分析に追われるのが常だ。新年を展望するための素材が発表されるからだ。発表のスタイルにはその時々の権力者の個性が反映される。初代の金日成氏は、歴代のソ連指導者と同様に「新年の辞」を恒例としたが、肉声の公表を好まなかった2代目の金正日氏は、この「新年の辞」を踏襲せず、朝鮮…【続きを読む】
チェウニ(1964年生)は、99年に日本でデビューした韓国人女性歌手だ。日本レコード大賞新人賞を受賞した「トーキョー・トワイライト」(2000年)や、「アリベデルチ・ヨコハマ」(14年)などのヒット曲を持つ。何度かライブに足を運んだことがあるが、ステージから観客の顔が見えるくらいの小さな会場で表現力豊かな歌声に聞き入…【続きを読む】
北朝鮮の思考を理解するうえで重要な手掛かりの一つは、最高指導者の肉声を伝える演説である。2011年12月に父の急死を受けて権力を継承して以降、金正恩氏は折に触れて党や国家の会議で発言してきたが、19年3月の最高人民会議代議員選挙で代議員(国会議員)職から外れた後は、不定期で同会議に出席し「施政演説」を行うことが慣例…【続きを読む】
ウランバートルには格別な思いがある。社会主義体制を放棄して間もない1990年代前半、バックパックを背負って親友と真冬のモンゴルを旅した。3ドルもあれば熱いシャワーのある宿に泊まれたが、乾燥した内陸国であるがゆえ、魚介類はもちろんのこと野菜も不足しており、毎食どの食堂に入っても羊肉ばかりで滅入(めい)ってしまった。モン…【続きを読む】