【時事通信社】
知的障害のある生徒が他の生徒と共に一般学級で学ぶ、神奈川県立のパイロット高校3校から2020年の春、1期生29人が卒業した。入学者選抜がある高校段階では全国的にも珍しい、インクルーシブ教育の実践だ。20年度からは、受け入れ校を14校に増やして全県をカバーする。注目された卒業生の進路は、約4割が「進学」。同県の桐谷次郎教育長は「障害のある子たちの選択肢が増えた意味は大きい」と話している。【続きを読む】
水槽箱庭の授業【時事通信社】
2019年11月中旬、小春日和の一日だった。横浜市立飯島小学校の2時間目。トレーニングウエアに着替えた尾上伸一校長(60)と個別支援学級(特別支援学級)担任の湊拓也教諭(27)が、プールに網を差し入れ、ヤゴを捕っている。何とも不思議な光景だが、これはれっきとした生活科の授業なのだ。支援級の一人の子のために行われた尾上校長による特別授業だった。【続きを読む】
飯島幼稚園【時事通信社】
横浜市立飯島小学校の尾上伸一校長(60)は、町を歩いていると、中高生からよく声を掛けられる。尾上校長も「どう? 元気?」と気軽に、うれしそうに応じる。記者が同行しているときも同じだ。「彼は期待の星です」「あの子の妹が今、うちの4年生にいます」と教えてくれる。飯島小の卒業生たちだ。【続きを読む】
支援級の授業【時事通信社】
横浜市立飯島小学校の個別支援学級(特別支援学級)に在籍する5年生の灯音さんが、一般学級に交流に行った時のことだ。2019年4月、新しいクラスで全員が自己紹介した。子どもたちの歓声と拍手が、ひときわ大きくなる場面があった。「しーっ」。数人がはっとして、口元に手を当てた。目配せをして指や顎で灯音さんを指した。灯音さんは…。【続きを読む】
1年2組の授業【時事通信社】
横浜市立飯島小学校の尾上伸一校長(60)は少しでも時間があると、必ず全クラスを見て回る。取材のたびにほぼ毎回、同行させてもらった。尾上校長は「最近は、また来たの、何しに来たのと言われちゃいます」と落ち込みながら、全児童551人に目を配っている。尾上校長に同行するたびに思う。小学校は…。【続きを読む】
支援級の個別指導【時事通信社】
4階建ての校舎2棟が連なった横浜市立飯島小学校で、個別支援学級(特別支援学級)は、他の学年と同じように、1フロアをほぼ支援級だけで占めている。隅のデッドスペースに追いやられた印象は無い。むしろ、校長室や職員室からのアクセスも良い。奥には図書館があり、他学年の児童も教室の前を行き来する、開放的な位置にある。支援級の教室をのぞいてみよう。【続きを読む】
支援級の体育【時事通信社】
「著作権法違反だらけじゃねーかよ」。女子にしては乱暴な言葉に、ぎょっとして声の主を見ると、マスクをしてキャップを目深にかぶった萌香さんだった。2019年12月初旬の土曜日、保護者や地域住民向けに行われた横浜市立飯島小学校の学習発表会。個別支援学級(特別支援学級)に在籍する5年生の萌香さんは…。【続きを読む】
休み時間は校庭で木登り【時事通信社】
「最近、息子に大きな出来事がありました」。2020年1月中旬。横浜市立飯島小学校の個別支援学級(特別支援学級)に在籍する5年生、拓己君の母親の理彩さん(41)からメールをもらった。取材した19年11月、拓己君は支援級に籍を置きながら、一般学級に交流に行き授業を受けていた。6年生からの一般級への転籍に備えた、最後の準備段階だった。【続きを読む】
飯島小5年生の算数の授業【時事通信社】
「あっ、コンパス忘れた。取ってくる」。拓己君が、慌てて教室を飛び出して行った。2019年11月下旬、横浜市立飯島小学校5年生の算数の授業。コンパスと分度器を使い、半径6センチの円に内接する正五角形と正六角形を描く練習問題を解いている最中だ。10分近く経つが、拓己君はなかなか戻ってこない。子どもたちの間を回り、一人ずつ指導していた安島美穂子教諭(42)が…。【続きを読む】
横浜市立飯島小学校=同市栄区【時事通信社】
「グレー(ゾーン)だからこそ悩むんです」。理彩さん(41)の長男の拓己君は、横浜市立飯島小学校の個別支援学級に通っている。同市では特別支援学級のことをこう呼んでいる。幼稚園の時に、発達障害の一種、自閉症スペクトラム(アスペルガー症候群)の傾向がある、と診断された。いわゆるグレーゾーンだ。親にとって、わが子の障害という現実を受け入れるのか。それとも「個性の一つ」と割り切るのか。理彩さんは「最大の選択は、小学校就学時でした」と振り返る。【続きを読む】