コラム:オレのダンディズム

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 プロ野球取材の現場に出ていたころ、中日の記事を書く日は少し気が重かった。落合博満監督の談話が取りにくかったからだ。口数が極端に少なく、歩きながら小さな声で一言、二言話すだけ。勝ったときはそっけない。負けたときほど笑みが見え、言葉も強がりに聞こえる。発言の解釈に迷わされることが多かった。

 他社の記者もよく「落合さんは難しい」などとぼやいていた。ところがそんな印象が少し変わる出来事があった。2007年11月13日、正力松太郎賞の発表の日のことだ。

 正力賞は、大きな功績を残した選手や監督を表彰するもので、その年は中日を53年ぶりの日本シリーズ制覇に導いた落合監督が選ばれた。しかし発表の日、思わぬ悲報も重なった。落合監督が「人生の師」と慕っていた元ロッテ監督の稲尾和久さんが、未明に70歳で他界したのである。

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