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小松原美里と尊が立ち向かってきたもの1/3

アイスダンスで夢舞台目指す夫婦

 フィギュアスケートのアイスダンスで来年2月の北京五輪を目指す夫婦、小松原美里(29)と小松原尊(30)=ともに倉敷ク=が1枚しかない五輪切符獲得を期して、23日開幕の全日本選手権(さいたまスーパーアリーナ)に臨む。けがや新型コロナウイルス禍による渡航制限などの困難を乗り越えてきた2人。練習を積んできた米国から12月上旬に帰国後、オンラインでインタビューに応じ、夢舞台への思いを語ってくれた。(時事通信運動部 岩尾哲大)

憧れのスターがライバルに

 昨季は全日本で3連覇を果たし、世界選手権では五輪の国・地域別出場枠を一つ勝ち取った。五輪前年の世界選手権で枠をもたらしたのは、2010年バンクーバー五輪代表のキャシー・リード、クリス・リード組以来だった。

 ただ、4連覇と北京五輪出場に向けては、村元哉中、高橋大輔組(関大ク)というライバルが立ちはだかる。35歳の高橋は男子の元世界王者でバンクーバー五輪銅メダリスト。本格的なアイスダンス転向2季目で急成長を遂げた。小松原組は直接対決となった11月のグランプリ(GP)シリーズ第4戦、NHK杯で村元、高橋組に敗れた。

 岡山県出身の美里にとって、同郷の高橋は9歳で競技を始めたころからのスター。憧れだった選手と、五輪を懸けて争うことになる巡り合わせ。複雑な気持ちがあるかと率直に聞くと、はっきりした口調で「私はネガティブよりポジティブを選びたい」と答えた。練習を終えようと思った際に「それでいいのか」と、もうひと踏ん張りさせてくれる存在になっている。

 村元、高橋組はNHK杯翌週のワルシャワ杯で、さらに得点を伸ばした。美里は「それで自分たちがやることが変わるかというと、変わらない。いい練習をして、ベストを出す。それしかアスリートにはできない」。真っすぐに先を見据え、全日本で最高の演技を見せることだけに焦点を置く。

一流の女優、歌舞伎役者とコラボ

 全日本に向けて、技術的にはステップやツイズルをブラッシュアップ。曲でも大きな変化がある。フリーの「SAYURI」のナレーション部分はこれまで英語だったが、日本語のバージョンを用意しようと考え、女優の夏木マリさんに快諾してもらった。「日本の観客の前で滑るので、日本語で伝えた方が(メッセージを)分かってもらえるのではないか」と思い、美里が自ら打診した。

 今季は歌舞伎役者の片岡孝太郎さんに振り付けの指導をしてもらうなど、他分野の第一人者のエッセンスも積極的に取り入れようとしてきた。美里は「ご縁に恵まれている。アイスダンスは面白い、演技の面で関わりたいと思っていただけているのかな」と感謝する。

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