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中山正隆・和歌山県有田川町長

◇住民の生活、大切に

 和歌山県の旧吉備町、金屋町、清水町が合併して2006年1月に有田川町(2万6700人)が誕生した。合併協議会会長として合併をリードしてきた中山正隆町長(なかやま・まさたか=67)は「合併が良かったという人と、そうでない人がいる」と謙遜するが、行財政改革や、県内初の電子図書館のオープンなど新たな町づくりは着実に進んでいる。中山町長は「住民の生活が大切だ」と言い切る。

 東海・東南海・南海の3連動地震などの発生が懸念される中、有田川町でも防災対策は重要な課題となっている。海に面していない町では、津波対策よりも、土砂、山津波対策が中心になるが、「行政には限界がある。自らを守るという考えが大切」と強調する。町長自身が1953年に和歌山県を襲った紀州大水害を経験。「当時小学2年生だったが、旧吉備町だけで71人が死亡」という惨事を目の当たりにした。

 昨年9月の台風12号では、町内を流れる有田川流域の住民約2000人にいち早く避難勧告を出し、全員が勧告に従って避難したため、被害は出なかった。紀州大水害の記憶から、いち早い避難が被害を食い止めた形で、「自主防災組織は7割まで出来上がった。今後訓練を積み、被害を食い止めたい」。

 合併当時440人いた職員は、現在385人にまで削減するなど行財政改革も着実に進んでいる。「あと3年で350人程度まで絞りたい」と語る。町の行政組織としては、新たに部長制を導入し、9人の部長を置いた。以前は課長会(30人)で決めていたが、現在は9人の部長会で決定するよう改められ、意思決定の迅速化につながった。さらに今春からは、庁内の決裁を全て電子化し、スピード感をもって仕事を進めるスタイルが定着しつつある。

 一方、昨年11月には県内初という電子図書館がオープンしたほか、飲食しながら本が読める図書館やミニ博物館などが入る複合地域交流センター「ALEC」は、ユニークな運営で「町内外ばかりか県外からも入館者がある」という人気ぶり。「毎月1万人ペースで来てくれる」といい、町一番の集客スポットとなっている。

 〔横顔〕旧吉備町議、同町長を経て06年2月有田川町長。現在2期目。県町村会会長を務めるほか、11年9月から近畿ブロック府県町村会会長。土曜日曜も各種行事で多忙だが、四季を通じた海釣りがリフレッシュ法。

 〔町の自慢〕日本一というミカンとサンショウ。扇状に美しく広がった棚田「あらぎ島」。来年10月には、全国61自治体が参加する棚田サミットが開かれる。

〔和歌山県有田川町ホームページ〕

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