※記事などの内容は2020年6月8日掲載時のものです
8日発表された2020年1~3月期の国内総生産(GDP)改定値は、実質で前期比0.6%減(年率換算は2.2%減)と、速報値から上方修正された。設備投資の復調に支えられた形だが、新型コロナウイルス流行が日本経済に与える影響は甚大。経済活動の停滞で4~6月期は「記録的な落ち込みになる」(大和総研)恐れがある。
日本経済研究センターによる5月の民間エコノミスト調査では、4~6月期の実質GDPは平均値で前期比年率21.33%減。戦後最悪とされるリーマン・ショック後の09年1~3月期(17.8%減)を上回る下落幅が見込まれている。
緊急事態宣言は5月に解除されたものの、経済は半ばまひ状態が続く。4月の訪日外国人数は前年に比べ99.9%少ない2900人にとどまり、航空、観光業は崖っぷちに追い込まれている。
外出自粛、休業要請で客足が遠のいた外食産業の売上高は急減し、新車販売台数も昨秋の消費税率引き上げ以降、8カ月連続で前年同月を下回る。感染拡大は世界中の経済活動も萎縮させ、4月の経常黒字額は前年同月比84%減少した。
政府は事業規模230兆円超という巨額の対策を決定。企業の資金繰り支援や現金給付などを通じて経済の基盤を守る考え。
ただ、当初もくろんでいた「景気のV字回復」という政治的にアピールしやすい言い回しを使う政府・与党幹部はもはや見当たらない。コロナ感染の第2波、第3波が警戒されている上、観光業界などを支える「Go To キャンペーン」は最大3000億円規模に上る事務委託費が批判を浴び、7月下旬を予定していた実施の遅れが必至だ。
民間も「世界恐慌的な様相がなくなったわけではない」(中西宏明経団連会長)と身構える。