ウクライナ避難民、悩みに変化 人生設計見通し立たず―「検証必要」と東京の支援団体・侵攻1年
2023年02月22日07時09分
ロシアのウクライナ侵攻から24日で1年。日本に逃れた避難民の苦悩が続く中、支援団体の活動も変化している。日本にいる避難民2185人(15日時点)の約4割に当たる896人を支援する日本YMCA同盟(東京都新宿区)によると、侵攻の長期化に伴い、今後の人生設計など、避難民の悩みの内容が変化しており、対応を迫られているという。<下へ続く>
15日、YMCAで支援計画の責任者を務める横山由利亜さん(53)が都営住宅で暮らすゼムリヤチェンコさん夫婦を戸別訪問した。北東部ハリコフ出身で、昨年4月末に来日。侵攻前、夫ミハイロさん(32)は鉄道会社で整備士として働き、妻オレーナさん(30)はプラネタリウム職員だった。来日後、コンビニでのアルバイトなどで生計を立てたが、避難生活が長引き定住を考え始めた。
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「日本で生活する以上、日本のために何かしたい。仕事をするに当たり、言葉が分からなければ何もできない」とミハイロさん。夫婦で週5回、日本語の授業を受けるなど、将来を見据え努力してきた。それでも「ウクライナの状況を見て、帰って戦わねばという思いを抱くこともある」と胸の内を語る。
横山さんによると、当初は入国支援や日本語教育など生活を始めるための支援が中心だったが、「就業や子どもの教育など、人生設計に関わるような相談が増えている。個別化、深刻化しており、難しい段階に入っている」と話す。
また、日本にいる避難民は女性が7割超を占め、母子のみも多いが、母親は限られた職種しか紹介されない上、新学期を前に子どもが日本とウクライナのどちらで教育を受けるか選択を迫られているという。
横山さんは「日本の社会で避難民を受け入れることについて、どのようなハードルがあるか検証する時期に来ている」と危機感を募らせる。