時事通信とは

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職種紹介

一般記者職のしごと

「1分1秒でも他社より早くニュースを発信すべく、日夜しのぎを削る」

政治、経済、社会、文化、スポーツなどあらゆるジャンルで国内外の出来事を取材し、記事を出すのが記者の仕事。ニュースの最前線が職場です。通信社の記者の場合、他のメディアに先駆けてフラッシュニュースを打ち、迅速に情報を伝える使命も忘れてはなりません。第一線の記者として活躍するには、どんな取材相手にも食い込んでいく意欲と勇気、取材テーマについての地道で粘り強い取材を続ける体力が求められ、何事にもめげない精神的なタフさも必要です。

政治部

首相の言動、最前線で追う

政治部に配属されたばかりの記者が担当するのが「総理番」だ。時事通信の場合、社会人1年目で担当することも珍しくない。時の最高権力者にぴたりと張り付いて一挙手一投足をウオッチし、首相動静や一般記事の形で契約メディアなどに配信する。首相の口から重大ニュースが飛び出すこともしばしば。2018年8月に安倍晋三首相の鹿児島県出張に同行した際には、首相が「あと3年、日本の舵取りを担う決意だ」と表明。自民党総裁選への出馬を表明した瞬間の首相を克明に記録し、直ちに東京へ報告した。

総理番の1日は長い。朝は7時半前には首相の私邸前に到着し、出邸を待ち受ける。首相が私邸に戻っても、深夜まで張り番は終わらない。総理番は新聞・テレビ各社も置いているものの、ハイヤーを使って料理店や映画館まで追い掛け回すのは通信社だけ。官邸記者クラブで昔から続く「時事共同方式」だ。中堅記者になれば政府専用機に乗り込み、首相を海外まで追い掛ける。

若手の仕事は総理番に限らない。総理番は数人で回しているため、当番でない日は政府高官に夜討ち朝駆けし、政権の次の一手を追う。政府の緊急事態対応を取材するのも重要な任務。9月6日に北海道地震が発生した際は午前3時すぎにベッドから飛び起き、タクシーで官邸へ急いだ。仕事は緊張の連続だが、時には歴史的瞬間にも最前線で立ち会える。やりがいは格別だ。

経済部

ダイナミックな変化を追え

「経済」と言えば、「堅苦しい」「難しそう」。こんなイメージだろうか。しかし、経済に関係ない人はいない。給料、働き方、消費税、住宅ローン、財務次官セクハラ、耐震改ざん、仮想通貨。人々が知りたいこれらのニュースは「経済部」が取材している。

「われわれの暮らしはどうなる」「アベノミクスに次の一手はあるのか」。素朴な疑問にこだわって取材し、一刻も早く伝える。21世紀の経済に国境はない。経済部の特ダネは、時に世界のマーケットを揺るがす。

2018年7月20日夜に放った特ダネ ★独自「日銀、長期金利目標の柔軟化検討=一定程度の上昇容認=7月末会合で議論」はその一つだ。日銀が長期金利は低ければ低い方がいいという考えを変えた金融政策の歴史的な転換を他社に先駆けて報じた。「しばらく日銀は動かないだろう」という大方の予想を覆す内容で、反応は国内にとどまらず、ロンドンやニューヨークの外国為替市場では時事通信の報道を受けて円高が進んだ。11日後、日銀は報じた通りの政策を決定。スクープの確かさが証明された瞬間の喜びと達成感こそ、この仕事の醍醐味だ。

また08年のリーマン・ショックから10年という節目に、経済部は外国経済部と共同で「危機後の世界」という連載企画を手がけた。貸し渋りに遭った中小企業の経営者、元リーマン社員、帰国を余儀なくされた外国人労働者。市井の人々の目線で10年間を追った連載記事はヤフーニュースのトップに載った。取材を担ったのは若手記者たちだ。

「経済」とは暮らしの基盤だ。経済政策、企業経営、市場。経済を形作る現場の最前線からきょうもニュースを報じている。

金融市場部

勝負は秒単位、速報をたたき込め

2018年10月1日朝、部内の一角は緊張感に包まれていた。時刻は午前8時49分50秒。重要な経済指標である日銀短観の公表まであと10秒だ。「大企業製造業の業況判断DIはプラス19」「大企業製造業の18年度経常利益計画は…」―程なく発表された一連の数値は予想よりやや悪かったものの、為替相場の反応は限定的だった。調査結果によっては大きな値動きになりかねないだけに、発表数秒後から多くのフラッシュや記事を立て続けに配信できたことに安堵(あんど)の空気が漂った。

金融市場部は為替、株式、債券、商品先物などのマーケット向けにニュースやデータを提供している。いわゆる実務情報を扱う部署だ。出先記者は常に相場を意識した速報・送稿に尽力。デスクは原稿を処理するだけでなく、政治、経済、事件・事故・災害、外交問題など多岐にわたる他部の記事にも目を通し、取捨選択の上で配信する。読者は市場関係者や金融機関・企業の経営者・幹部など。いずれもその道のプロで、要求水準は高い。

ニュースと並んで顧客に提供しているデータは膨大だ。相場情報や統計数値などを正確に遅滞なく届けるため、データ入力担当者は日々地道な作業に取り組んでいる。

内政部

素人でも「専門記者」

「さすがによく知ってるね。それだけ材料があればもう書けるじゃない」。霞が関のA省で課長をつかまえて、つかんだネタの詰めの取材をしていたが、そう言われて、はぐらかされてしまった。「書けるには書けるが、どうしてももう一点確認したいことがある。後でまたアプローチ方法を変えて迫ってみよう」。省庁の政策を日々追う内政部の記者は、取材先から行政ニュースのプロと思われており、特ダネを実らせるハードルは逆に高い。

内政部の守備範囲は、地方自治や社会保障、住宅、教育、環境などと幅広く、いずれも暮らしに身近な政策分野。国、地方自治体の動きを全国のマスコミ契約社などを通じて一般読者に届けるほか、時事通信が誇る行政情報サービス「官庁速報」「iJAMP」でいち早く行政担当者に伝える使命がある。

このため内政部記者は、閣僚や官僚に深く食い込み、政策の企画立案から決定までの流れを誰よりも早くつかみ、正しく伝えることが求められる。しかし、しょせん素人。読者のニーズをその時点で考え、洞察し、それに合った視点で取材し、理解し、書く―こうした日常の積み重ねが、知らず知らずのうちに素人を素人なりに、いわゆる「専門記者」にしてくれる。

「定年延長、給与3割減へ=人件費抑制、民間を考慮-人事院検討」「地場産品の範囲明示=ふるさと納税返礼品-総務省」といった行政担当者を納得させる特ダネは、省庁の奥座敷に踏み込まねばつかめない。

さらに行政ニュースは複雑な制度を分かりやすく解きほぐして書くことも要求される。謙虚に学ぶ姿勢も重要になる。「時事さんが一番正しく書けていた」と取材先から連絡をもらったときの達成感は苦労を吹き飛ばす。

社会部

取材対象は「森羅万象」

船室で波に揺られながら出稿メニューを考えていた。9月、北海道を襲った震度7の地震。空港は閉鎖され、東京から新幹線とフェリーを乗り継いで現地入りを目指した。

翌朝、タクシーを拾ってすぐに被害の大きかった厚真町へ向かう。停電で信号機は消え、倒壊した家屋が見える。むき出しになった山肌が連なる異様な光景に圧倒される。到着早々、取材班で手分けをして避難所での声集めに奔走する。

パソコンから記事を送ろうにも通信障害でなかなか送れない。本社から催促の電話がかかってくる。電話で記事を吹き込み、すぐ次の取材地点に向かった。土砂崩れ現場で続く行方不明者の懸命の捜索、避難所に身を寄せる人たちの声、肉親が犠牲になった被災者の悲嘆。記事を出し続けなければならない。

被災直後でつらい状況に置かれた人に声を掛けるのは忍びない。嫌な顔をされ、ため息をつかれる。それでも実際に話を聴いてみると、ひとくくりの「被災者」がいないこと、1人1人別の経験をした人間だという当たり前のことに気付かされる。「大変だね」。自分の方が大変なのに気遣ってくれる優しさが身に染みる。

「全国の皆さんに現状を伝えられてよかったです」。何度か断られたものの、最終的には心の内を明かしてくれた厚真町の被災者の1人から帰京後に連絡が来た。

災害はもちろん事件や事故、教育、科学、司法、皇室…。築地市場にいたネズミが、解体でどうなるのかも考える。社会部の取材分野は多岐にわたる。人間社会で起きる問題のほぼ全てに近い。そのために、日々起こる出来事へアンテナを張り巡らせている。

運動部

感動場面、最前線から

「羽生が金、66年ぶり連覇-フィギュア男子」―。韓国の平昌から、時事電の速報が世界を駆け巡った。「大坂、日本勢初の四大大会V-全米テニス」―。快挙をニューヨーク特派員が詳報した。国際大会で繰り広げられる戦い、ドラマを最前線から伝える。真剣勝負、感動の場面をどう描くか。運動記者にとって、存分に力を発揮できる場があふれている。

2020年東京五輪・パラリンピックは目前。日本で56年ぶりとなるスポーツの祭典に立ち会える貴重な機会となる。東京大会までにも、19年にはラグビーのワールドカップが日本で開催される。アジアが舞台になるのは初めてだ。

スポーツ取材の範囲は格段に広がってきている。プロ野球、Jリーグ、大相撲など国内主要競技に加え、大谷翔平ら日本選手の活躍が目覚ましい米大リーグ、欧州サッカー、テニス、ゴルフと海外イベントのカバーも欠かせない。20年に向けては障害者スポーツへの関心も高まっている。担当記者は世界中を飛び回っている。

水産部

お魚情報の発信、豊洲新市場から

首都圏の台所、東京・築地市場(中央区)が開場後83年の歴史に幕を下し、2018年10月11日、江東区にある豊洲市場へ移転した。土壌汚染問題で大きく揺れ動いた豊洲市場だが、都が床をコンクリートで覆うなどの追加対策を講じ、安全性が確認された。

世界最大級の魚市場として知られた築地から豊洲への移転で、水産部の拠点も豊洲へ。築地とは異なる立体構造で、卸、仲卸売場は魚の温度、衛生管理が徹底されており、魚のプロによる取引で、築地に代わる「豊洲ブランド」の構築が期待されている。

豊洲市場は築地の1.7倍のおよそ40ヘクタールと広く、取材面では格段に歩く距離が増えた。足腰を鍛えながら、季節によって変わる各地の魚たちに関する情報を10人以上の部員らで集め、全国の魚関係者らに配信する。

水産部は主要メディアでは時事通信にしかない部署。早朝4時すぎから卸売場に足を運び、マグロをはじめ入荷した魚の種類や産地、量、サイズ、卸値などを取材。全国主要漁港の水揚げ情報も独自に調べ、Web版「時事水産情報」や、携帯電話向けの「お魚メール」などにデータを打ち込んでいく。

若者を中心に魚離れが指摘されているとはいえ、日本人の魚消費は今も世界で上位。大きさや身質、季節などによって価値が異なる魚介への関心は高い。生、冷凍、さらに加工が施された豊富な水産物が集まる豊洲市場。複雑な水産物流通の「要」となる日本一の魚市場から、水産関係者が求める情報を発信し続けている。

外信部

激動の世界が相手

「トランプ氏と金正恩氏が対面し、握手を交わした」「米朝共同声明で、トランプ氏は北朝鮮の体制保証を約束し、金正恩氏は朝鮮半島の完全な非核化に断固として取り組むことを確認した」「トランプ氏は日本人拉致問題を提起した」。6月12日にシンガポールで行われた史上初の米朝首脳会談について、フラッシュ・速報が東京の外信部から次々と流れた。

米朝首脳会談は現地特派員に加え、ワシントン、ソウル両特派員や外信部記者らが出張して共同で取材した。会談自体だけでなく、両首脳の移動状況まで詳しく速報。ツイッターによる現地ルポも行った。外信部は編集用端末を増設して、総動員態勢で原稿を処理。取材団と頻繁に連絡を取りながら、中国、ロシアなど関係各国の反応を含め大量の原稿を送信した。

外交、政争、テロ、紛争、災害と海外ニュースは尽きない。世界各国で起きる重大事件に日本も無関係ではいられない。各国に駐在する特派員たちは言葉や文化の壁を越えて、激動の世界を相手に奮闘を続けている。

外国経済部

世界と日本を経済ニュースで結ぶ

「米、鉄鋼に関税25%=アルミ含めた輸入制限、来週署名」「米大統領、対中制裁決定=知財侵害で関税5兆円―貿易戦争の恐れ」「OPEC、増産で合意=1年半ぶり政策転換」「最大画面のiPhone=3種類の新モデル発表―米アップル」「NYダウ、8カ月ぶり最高値」―。ここ1年に外国経済部(外経部)から出稿された重要記事の見出しのほんの一部だ。少し前まで、外国の、しかも経済ニュースが新聞で大きく扱われることはまれだった。

だが、グローバル化が急速に進展。外国経済の動きはそのまま日本の政策や企業戦略、そして市民生活に直結するようになり、ニュースバリューは格段に高まった。一方で、外経部が配信するのは、紙面を飾るこうしたニュースばかりではない。各国の財政や要人発言、企業決算やマーケットの動き。さまざまな分野の「玄人」が求める専門ニュースも、世界に散らばる特派員と外経部が連携しながら、日々数多く発信している。

通信社と言えば海外ニュース、そして時事通信の「売り」とも言える経済ニュース。外経部はその両方を扱う“贅沢な”部署なのだ。

文化特信部

人々の生活、心を豊かに

新聞の文化・家庭・生活面へ向けたフィーチャー(読み物)記事などを日々、送り届けるのが文化特信部の主な仕事だ。 扱う分野は硬軟雑多で幅広い。 文芸分野では書評のほか、著名作家にインタビューし、出版業界の話題を紹介。旬のミステリーやSF、 文庫、新書の「お薦め」をする。社会時評として、国内外の政治も取り上げる。芸能分野では、 映画、演劇、テレビ、歌舞伎、落語…。主役や監督の本音を引き出すのが記者の腕の見せどころだ。 美術やクラシック音楽も題材となり、世界の音楽界やヒット曲の話題も提供する。

身近な家庭のテーマをどう提示するかも考えどころだ。教育・子育て、園芸、最新モードを含むファッション、美容、医療・健康、 ペット、レジャー…。料理の献立も忘れてはならない。一方で、性的少数者(LGBT)、夫婦別姓、介護、貧困といった社会問題にも切り込む。 最近はシニア向け記事へのニーズが高い。人々の生活や心を豊かにするのを目指して記事を書く。 ゴールはないが、記者冥利(みょうり)に尽きる職場だ。