近年の球団経営で入場料、放映権料と並ぶ収入の「3本柱」に育ったのがグッズ販売だ。特にレプリカユニホームやマスコットのキャラクターグッズが好調で、2010年の収入が前年比約1.5倍という球団もある。
セ・リーグで最も売り上げが多いとされる阪神は、全国に直営2店を含む20の「タイガースショップ」を展開する。ロイヤルティーやインターネット販売も含めた売り上げが球団収入の3割を占め、南信男球団社長は「球団が商品を卸し、甲子園で自前で売るからすごく大きい」と話す。
広島も数年前に3、4億円だった売り上げが、08年は市民球場最終年の企画で10億円を超え、09年は新ユニホーム効果で20億円に上った。全て自社開発するため、サヨナラ勝ちを記念して試合の写真などを使ったTシャツが、数日で店頭に並ぶといった強みがある。
巨人は、業者に販売させてロイヤルティー収入を得る形が中心。東京ドームが自前の球場ではないこともあり、利益はそう多くない。桃井恒和球団社長は「自分たちで店を作って売れば(売り上げは)ほとんど入ってくるが、在庫リスクを抱えることになる」と難しさを語る。
ヤクルトは「売り場」が少なく、神宮球場近くの「タイガースショップ」でヤクルトのグッズを扱ってもらっている。
パ・リーグ球団で好調なのがネット販売だ。ソフトバンクは20億円を超すグッズ収入の多くがネット販売。楽天も親会社の強みを生かし、グッズ事業の主力になっている。売り場確保の苦労がなく、人件費も抑えられる。特に自前の球場を持たない球団は、貴重な収入源として力を入れる分野になりそうだ。
(取材・プロ野球取材班・文・浦俊介)
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