近年は、自前の球場でなくても管理・運営権を得ることで経営のプラスになっている球団が増えてきた。
ロッテは2006年に千葉マリンスタジアムの指定管理者になった。その前は、04年度を例に取ると入場料収入の25%、広告と場内飲食店収入の全額が第三セクターの球場管理会社に入った。球団の年間売り上げは約20億円。それが06年度以後は一変し、10年度の売り上げは80億円ほどに上る。
09年に開場し、広島市が所有するマツダスタジアムは、球団が使用料とは別に市へ10年間で21億1000万円を納め、球場を管理・運営する。
特殊な例はソフトバンク。グループ会社が興行権を持ち、オフのイベント収入なども見込める。場内に王貞治ミュージアムを作ったように管理・運営にも球団の企画を反映させやすいが、海外資本が関係する球場所有企業に、年間50億円もの使用料を払う。これには固定資産税相当額も含まれ、「福岡市に少し何とかなりませんかとお願いしている」と球団幹部。
自治体と良好な関係にあるのは楽天だ。球団が旧県営宮城球場の改修費用を全面負担。施設を県に寄付することで、都市公園法に基づく管理許可を受けた。池田敦司球団副社長は「指定管理者より自由度が高い」と言う。球場の収入はほとんど球団に入り、使用料も年間6900万円。
借り物だと施設改修には一定の制約があるが、所有者との関係を工夫して運営に企画力を発揮できれば、観客増につながる。池田副社長は「野球は(攻守交代などで)インターバルが長いスポーツ。飲食を含め多種多様な新しい提案をしていきたい」と知恵を絞る。
(取材・プロ野球取材班、文・高橋勇気)
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