横浜の売却騒動でクローズアップされたのが、本拠地・横浜スタジアムとの関係だった。自前の球場を持つか、使用料などを払って使うだけか、管理・運営権を持って借りるか―。現状を三つに大別できる球場との関係は、球団経営を大きく左右している。
「自前」の球場があるのは阪神、中日、西武、オリックス。いずれも親会社の関連企業が管理・運営しており、施設改修やサービスを一体的に進められる。使用料も、グループ内で資金が動いているにすぎない。
オリックスは2006年に大阪ドーム(現京セラドーム)を買収し、グループ会社の大阪シティドームが経営している。試合がない日のイベントなどへの貸し出しを積極的に進め、広告看板などでも収益を上げてきた。同社単体の決算は黒字続き。今や球団の赤字をおよそ4割も補い、小畠弘行社長は「この勢いで球団と球場の相乗効果を続けられたら」と話す。
借り物の球団は大きく事情が異なる。横浜スタジアムは横浜市が出資する第三セクターが運営。球団は年間8億円の使用料を払ってきた。入場料の25%、売店などの売り上げ、広告収入も球場に入る。日本ハムも、札幌ドームが満員になると1日1600万円を球場に支払うなどの契約になっている。
しかも運営権がなく、施設改修や物品販売などの営業努力をするのに自由が利きにくい。日本ハムの藤井純一球団社長は「ドームが球団と一緒の気持ちでやっていただければいいが…」、横浜の加地隆雄球団社長も「球場と一緒にもてなしを考え、弁当や飲み物でもお客さんに思いを伝えたい」と悩みを明かす。
(取材・プロ野球取材班、文・高橋勇気)
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