プロ野球経営事情

データベースで堅実強化
=成果上げる日本ハム=

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 入団発表で広島の野村謙二郎監督(前列中央)を囲む新人8選手。この年も1位指名の今村猛投手(同左)、2位の堂林翔太内野手(同右)ら高校生が多く指名された(2009/12/16)【時事通信社】

 入団発表で広島の野村謙二郎監督(前列中央)を囲む新人8選手。
この年も1位指名の今村猛投手(同左)、2位の堂林翔太内野手(同右)
ら高校生が多く指名された(2009/12/16)【時事通信社】

 選手数を絞り、成功している球団もある。日本ハムは育成枠を使わず、支配下選手も上限の70人に満たない。藤井純一球団社長は、育成枠を活用するのは人材発掘が目的というより「選手を多く抱えておきたいチームの事情」と指摘する。

 2004年に札幌へ移転し、既存戦力を育てて戦う方針を立てた。7年間でリーグ優勝3度を含むAクラス5度。背景には、米大リーグの例を参考に05年に導入したデータベース「ベースボール・オペレーション・システム」がある。

 自軍だけでなく他球団やアマチュアの選手の能力を10項目で数値化し、将来の力を予測。現場の指導とともにドラフトや重点を絞ったトレードに生かす。引退やフリーエージェントによる流出も織り込んで編成計画を立てられる。システム構築に約1億円、その後も毎年数千万円掛かるが、強化の効率が上がれば長期的には経費削減になる。

 ソフトバンクは同様のシステムを今年から本格運用し、ロッテも今年中に採用する考えだ。

 選手の年俸が低いことで知られる広島は、補強費も抑え、ドラフトで高卒選手を多く指名して育てることに力を注いできた。松田元オーナーは「うちは3~5位ぐらいの指名が最も得意」と自負する。外国人獲得では、米国駐在の弁護士とスカウトに年間2000万円の経費を掛け、投資に見合う能力を持った選手の獲得に努める。

 ただ、近年は成績が伴わずBクラスが13年続いた。09年に石井琢朗、今季は豊田清といったベテランを獲得。路線変更ではなく、若手の手本にもなる戦力としての補強で、球団は出費と成果のバランスを注視している。

(取材・プロ野球取材班、文・小野田有希)

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