プロ野球経営事情

ポイント制で動向把握
=進むファンクラブ改革=

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ロッテの今季観客動員が100万人を突破したことを示す電光板(2010/07/31、千葉マリン)【時事通信社】

ロッテの今季観客動員が100万人を突破したことを示す電光板
(2010/07/31、千葉マリン)【時事通信社】

 2005年に始まったプロ野球の観客実数発表。翌06年、巨人は平均4万2000人を割り、危機感を持った。桃井恒和球団社長は「どういう人が来ているか、どれくらいの頻度で来ているかなどのデータが何もなかった」と振り返る。

 07年に着手したのがファンクラブ改革だった。それまでは巨人の情報を流して喜んでもらう程度。「ビジネスにどう生かすかという観点を欠き、遅れていた」

 参考にしたのは、会員が入場券やグッズを買うとポイントがたまるロッテのシステム。ロッテはポイントをマイレージに換えられるなどして全日空と提携することで、顧客管理のノウハウも提供してもらい、ニーズの分析が可能になった。

 ポイント制は日本ハムや西武も採用している。西武が08年からの事業改革で始めた有料ファンクラブは昨年、会員が8万6000人になった。小林信次球団社長は「同じ人の年間来場回数が増えてきている。本当に動いてくれるファン層になり、来場者を増やす(戦略を立てる上で)ベースとして信頼できる数字になる」と話す。

 巨人は会員に好きな選手を登録してもらい、その選手の活躍によってポイントが増えるサービスを加えた。選手の人気をつかんでグッズの販売予測や商品開発に役立て、来場者が少ないと予想される日には特定の選手のイベントを組むこともある。「お客さんの嗜好(しこう)を吸い上げ、的を絞った効率的な営業ができる」と桃井球団社長。他業界に学びながら、プロ野球界もようやく顧客の一人一人とつながったサービスの開拓へ、動き始めた。

(取材・プロ野球取材班、文・藤井隆宏)

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