プロ野球経営事情

パが挑む映像市場開拓
=地上波一括管理も視野=

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パ・リーグを制したソフトバンクの優勝パレード。中央左から川崎宗則、秋山幸二監督、和田毅(2010/11/20、福岡市内)【時事通信社】

パ・リーグを制したソフトバンクの優勝パレード。
中央左から川崎宗則、秋山幸二監督、和田毅
(2010/11/20、福岡市内)【時事通信社】

 パ・リーグでは、6球団が2007年に共同出資会社「パシフィック・リーグ・マーケティング」を設立し、連携して新たな収入源の確保に取り組んでいる。映像事業はその柱の一つだ。ソフトバンクのグループ会社「TVバンク」に委託したインターネット動画配信は1試合390円のペイ・パー・ビューや月1480円の定額制などのコースを設定。携帯電話などモバイル端末用動画も配信し、若年層の取り込みを図る。

 収益規模は地上波と単純には比較できないが、各球団が持つ放映権を生かすための新たな手段になった。ソフトバンクの笠井和彦球団社長兼オーナー代行は「今は地上波だけで見ているわけではない。パソコンでも携帯でも見られる。テレビがなくても困らない時代だ」と語る。

 この取り組みは将来、地上波放映権でも連携する可能性を視野に入れている。西武の荒原正明事業本部長は「例えば対戦カードを事前に決めずに、『クライマックスシリーズ進出を争う試合』として販売することもできる」と、パ6球団で一括管理・販売するメリットを挙げる。

 パに比べ、セは足並みがそろっていないが、一部の球団からは「BS、CSも考えれば、やはり日本野球機構(NPB)が一括でやるのが良いのではないか。その上で各球団に分配すれば、今よりは良くなる」との声も出てきた。

 球団による放映試合数の不均衡や収益配分の方法など難題が多く、以前は非現実的だとして片付けられてきた方式だが、そうした議論も避けて通れないとの認識は、生まれつつある。

(取材・プロ野球取材班、文・飯塚大輔)

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