かつてプロ野球中継は、テレビ局にとってゴールデンタイムの主力番組だった。球団に入る放映権料収入も大きかったが、今では収入に占める割合が激減するなど、放映権ビジネスは大きな変わり目を迎えた。
Jリーグなどの一括管理と違い、プロ野球は球団ごとにテレビ局と交渉して放映権を売る。TBSを親会社に持つ横浜は、ピーク時に放映権で年間30億円近い収入があったが、回数と1試合ごとの放映権料が減り、今や6億円程度。笹川博史取締役は「シーズン入場券と前売り・当日入場券、放映権料が収入の3本柱だった。今は放映権料が崩れかけている」と言う。
1試合1億円を超えていた巨人戦も、下落が続いている。ビデオリサーチによると、2010年の巨人戦ナイター(地上波)の年間平均視聴率(関東地区)は8.4%で過去最低。巨人の桃井恒和球団社長は「放映権料が下がらないよう努力するしかないが、下げ圧力は増えてくる」とみる。阪神も同様で、「昔は各局が『時間枠はどこでも空ける』などと言っていたが、今はこちらから『買ってください』と言う必要も出てきている」(酒井清史営業部長)。
半面、日本テレビの「G+」やTBSの「ニュースバード」などのCSチャンネルはプロ野球を柱として加入者数が伸びている。内容にも、熱心なファンを意識した工夫がうかがえる。民放キー局のプロデューサーは「野球というコンテンツには有料でも見たいという強い魅力があり、視聴形態が地上波からCSやインターネットに分散している」と話し、番組の作り手も球団も「脱地上波」の戦略が必要だと指摘する。
(取材・プロ野球取材班、文・飯塚大輔)
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