プロ野球経営事情

求められる「共闘」
=観客動員は善戦=

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 ナゴヤドームの試合を中継するテレビカメラ(2010/10/22、ナゴヤドーム)【時事通信社】

 ナゴヤドームの試合を中継するテレビカメラ
(2010/10/22、ナゴヤドーム)【時事通信社】

 巨人戦中継などのテレビ地上波視聴率が低迷し、野球人気低下と結び付けて語られるが、2010年の観客数はセ・リーグが1230万8022人(前年比3.0%減)、パは983万2981人(同1.3%増)だった。日米の野球事情に詳しい池井優慶大名誉教授は「観客動員は健闘している」と評価する。

 ただ、斎藤佑樹(日本ハム)のようなスターの存在やクライマックスシリーズの盛り上がりに頼っては、それも続かない。昨春から日本野球機構(NPB)で新規事業立案を進めている浅見幸宏総合企画部専任部長は、プロ野球発展の課題として▽世界最高水準の競技力の維持▽野球場の質の向上▽球団間の連携強化によるビジネス効率向上―の3点を挙げる。

 競技力はワールド・ベースボール・クラシック連覇で証明された。米大リーグの球場を連想させる広島の本拠地マツダスタジアムをはじめ、各球団の本拠地球場も、一部を除いて改修などで質の向上が図られている。

 球団間の連携では、パが07年に「パシフィック・リーグ・マーケティング」を設立し、集客事業や市場開拓に取り組んでいる。リーグ関係者は「巨人や阪神のように1球団で頑張り切れない分、パは6球団が一つになってやっている。セに追い付く下地はできてきたのでは」と手応えを語る。

 今季から1軍戦で使うボールを統一したのは、12球団連携の一例だ。独占供給社選定に際しては、全球団がまとまったことで交渉力が働き、価格を抑える成果が上がった。娯楽が多様化する中、国民的スポーツであり続けるための模索が、さらに広がりそうだ。

(取材・プロ野球取材班、文・佐々木和則)

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