プロ野球経営事情

変わる赤字の捉え方
=保有価値、厳しく判断=

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 親会社の球団売却交渉が決裂し、記者会見する横浜の加地隆雄球団社長(2010/10/27、横浜市内の球団事務所)【時事通信社】

 親会社の球団売却交渉が決裂し、
記者会見する横浜の加地隆雄球団社長
(2010/10/27、横浜市内の球団事務所)【時事通信社】

 日本ハムの新人・斎藤佑樹投手の人気で華やかに年が明けたプロ野球界だが、昨年は横浜の球団売却騒動や日本シリーズの一部の試合が地上波で全国中継されないなど、厳しい話題もあった。球団経営の最新事情を追う。

◇黒字は3球団

 球団経営はどこも楽ではない。黒字が続いているのは巨人、阪神、広島だけで他の9球団は赤字とされ、親会社などから広告宣伝費などの名目でほてんを受けている。プロ野球を統括する日本野球機構(NPB)も4年連続赤字決算だ。

 横浜は年間20億円を超す赤字。親会社のTBSホールディングスは売却交渉再燃の可能性を否定しない。加地隆雄球団社長は「体質改善して自立するのが理想」と話すが、これといった具体策は見当たらない。

 完全な「自立」は難しくとも、「赤字ほてん」の捉え方は変わってきた。日本ハムは親会社から年間30億円が球団に入るが、藤井純一球団社長は「価値を提供してスポンサー料をいただくという考え方。30億円が入った状態で予算を組み、そこからいかにプラスを出すか」と語る。

 ソフトバンクも年間約30億円の「赤字ほてん」を受けている。笠井和彦球団社長兼オーナー代行は「これだけ貢献していますという数字も出さないといけない。われわれが勝手につくった数字ではなくて、いろんな所で分析してもらう」。昨年のリーグ優勝による宣伝効果は500億円を超すという。

 横浜は3年連続最下位の成績不振も響いており、加地社長は「強くないと資産価値が上がらない」と言う。球団が垂れ流した赤字を黙って広告費と考えていた時代から、親会社にとってその額が球団保有価値に見合うかどうかを厳しく判断する時代になった。たとえ金の流れは同じでも、そうした変化をどう具現化できるかで、球団の体質に違いが生まれている。

(取材・プロ野球取材班、文・佐々木和則)

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