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「死に体」化進む岸田内閣 支持率最低を更新◆時事6月世論調査【解説委員室から】

2024年06月15日09時30分

 時事通信社の6月世論調査によると、岸田文雄内閣の支持率は164%(前月比23ポイント減)で、2012年12月の自民党の政権復帰以降、最低を更新した。政権浮揚への期待がかかる定額減税の物価高への効果についても、「ない」が653%で評価に乏しいことが判明。岸田首相の自民党総裁任期切れを9月末に控え、政権の「死に体」化が進んだ。(時事通信解説委員長・高橋正光)

 【目次】
 ◇続く低水準、自民も
 ◇規正法改正案、7割超評価せず
 ◇総裁選不出馬?

続く低水準、自民も

 調査は全国18歳以上の2000人を対象に個別面接方式で7~10日に実施。有効回収率は621%。それによると、岸田内閣の不支持率は570%(前月比14ポイント増)。自民党の支持率は164%(同07ポイント増)だった。支持率が2割に届かないのは、内閣が7か月連続、自民党が8か月連続。内閣、自民党ともに、超低空飛行が続いている。

 内閣支持率を性別でみると、男性177%、女性149%。世代別では、「18~29歳」(117%)と「30歳代」(115%)が特に低く、2割を超えたのは「70歳以上」(230%)だけだった。

 自民支持層の内閣支持率は471%(不支持率299%)で、2か月ぶりに5割を切った。公明支持層の内閣支持は381%(同429%)、支持政党なしの内閣支持は98%(同606%)。無党派層の内閣支持率は、1割程度の状態が続いている。

 一方、自民党支持率の男女別は、男性186%、女性140%。世代別では「18~29歳」(72%)と「30歳代」(97%)が一けた台で、2割を上回ったのは「70歳以上」(246%)だけ。女性、青年世代の支持が特に低く、70歳以上の高齢者の支持が比較的高い点は、内閣、自民党に共通だ。

規正法改正案、7割超評価せず

 今回の調査では、安倍派などの裏金事件を受けて、自民、公明、維新の3党の賛成多数で衆院を通過した自民党提出の政治資金規正法の改正案についても聞いた。それによると、「大いに」「ある程度」を合わせて「評価する」は178%。これに対し、「あまり」「まったく」を合わせた「評価しない」が722%。

 自民支持層に限定しても、「評価しない」(613%)がダブルスコアで「評価する」(299%)を上回った。裏金事件の当事者である自民党の政治資金の透明化などへの取り組みについて、有権者の多くが不満を募らせていることが読み取れる。

 また、改正案に盛り込まれていない企業・団体献金についても質問。「禁止すべきだ」524%、「認めるべきだ」193%、「どちらともいえない・わからない」284%で、禁止派が過半数を占めた。ただ、自民支持層に限定すると禁止派(368%)と容認派(358%)が拮抗した。

総裁選不出馬?

 一方、今月から実施の一人4万円の定額減税の物価高への効果も尋ねた。結果は、「ある」142%、「ない」653%、「どちらともいえない・わからない」205%。自民支持層でも「ある」196%、「ない」559%と、効果を疑問視する人が過半数を占めた。調査結果からは、定額減税が内閣支持率の上昇につながる可能性は低そうだ。

 国会は今月23日に閉幕し、自民党総裁選が事実上スタート。総裁選は、衆院議員の任期満了を来年10月、参院選を来年夏にそれぞれひかえ、「党の顔」選びとなる。そして、総裁選までの政治日程を見る限り、岸田内閣の支持率急上昇につながりそうなものは見当たらない。

 選挙に強くない議員ほど、「党の顔」を代えることで自民党への逆風を弱め、自らの生き残りを図ろうとするだろう。実際、新型コロナ対策が後手に回り、支持を低下させた菅義偉前首相から、岸田首相に「党の顔」が代わっただけで、自民党への逆風は止み、前回2021年10月の衆院選で勝利している。

 そもそも、岸田首相(総裁)の任期切れに伴う総裁選は、国会議員票と党員票の比率は同じ。世論調査で自民支持層の5割の支持も得られない不人気の岸田首相が、多数の党員の支持を得られるとは思えない。連立を組む公明党も、新しい「自民党の顔」の下での今秋の衆院解散を期待している。

 岸田首相の総裁再選は極めて難しいのが現実で、3か月後の退陣が避けられそうにない政権に、新たな政策を打ち出す「体力」は残っていないだろう。今回の世論調査で、政権としては「死に体」であることがより鮮明になったと言える。

 菅氏のように、岸田首相も早晩「名誉ある撤退=総裁選不出馬」に追い込まれるのではないか? 政権の現状からは、他の選択肢が思い浮かばない。

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