会員限定記事会員限定記事

楽天ドラ1荘司康誠、9度目登板でプロ初白星からその先へ 確かな一歩踏み出した前半戦

2023年07月20日11時00分

 プロ野球楽天のドラフト1位ルーキー、22歳の荘司康誠投手が実りのあるシーズン前半戦を送った。9度目の登板だった7月5日のオリックス戦で念願のプロ初勝利をマークし、これを含む10試合に先発して防御率3.07。本拠地の楽天モバイルパーク宮城で待望の白星をつかみ、お立ち台に上がった右腕は「お待たせしました。ずっと勝てない期間が続いていたけど、その間変わらず素晴らしい応援をいただいていた。本当に感謝している」と声を弾ませた。(時事通信仙台支社編集部 飯泉満里奈)

 気合十分のマウンドだった。「勝てないところ(期間)を終わらせると意気込んで準備してきた。やるしかないという気持ちだった」。一回の初球は153キロ。連続三振と内野ゴロで3人を抑えた。二回以降は粘りの投球。毎回のように得点圏に走者を背負いながらも、要所で踏ん張った。6回を投げて5安打無失点で、8三振を奪った。相手の先発、宮城大弥投手は5回4失点。今春のワールド・ベースボール・クラシック(WBC)日本代表でもある1学年下の左腕に投げ勝った。

 記念の1勝を手にし、「気にしないでいたが、いざこうなると予想以上にうれしい。しかもホームで勝てたというのがなおさら」。新潟県出身。ウイニングボールは両親に渡すといい、「ずっと新潟から応援しに来てくれていた。感謝の気持ちと、もっともっとウイニングボールを渡せるように頑張ると伝えたい」と誓った。お祝いのメッセージは150件届き、返信に2日掛かったという。

 楽天はそこから8連勝。1敗後、さらに2連勝し、39勝43敗1分けの4位でオースルター戦前の前半戦を終えた。シーズン序盤は最下位に低迷したが、荘司のプロ初勝利がチームに勢いをもたらした格好だ。

壁に阻まれ、勝ち星ならず

 荘司はこれまで、何度も壁に阻まれてきた。4月22日の日本ハム戦で1軍デビュー。六回途中まで投げ3失点と奮闘したが、黒星が付いた。5戦目となった5月28日も日本ハムと当たり、9回2失点と力投。100球を超えても球速は落ちず、九回は上位打線を三者三振に仕留めた。しかし、スコアは1―2。その裏の楽天が無得点なら負け投手となる。球場内には大きな「荘司コール」が巻き起こった。すると打線が奮起。土壇場で追い付き、延長十二回にサヨナラ勝ち。勝利に大きく貢献した荘司もヒーローインタビューに呼ばれ、「初勝利という形ではないけど、次に勝って上がれればいいかな。勝つっていいな、勝たないと駄目だな、というのはすごく思った」と思いを新たにした。

 交流戦では、立大時代になじみのある神宮球場でも登板した。6月4日のヤクルト戦。「神宮で初勝利なんてエモい(エモーショナル)ですよね。珍しいじゃないですか、パ・リーグ(のチーム)で」と意気込んだが、2回で3安打、4四球の3失点と乱調。東京六大学リーグで通算3本塁打を放った打撃を見せることもかなわず降板。勝ち星なしの3敗目を喫した。

先発ローテを守り切る決意

 新潟明訓高時代は甲子園出場経験なし。立大に進学後、肩のけがに苦しむ時期もあった。それでも完治後に急成長し、3年春にリーグ戦で初登板。4年の春に東京六大学での初白星をマークした。楽天は189センチの長身から繰り出す角度のある直球と多彩な変化球を高く評価し、ロッテとの競合の末に獲得にこぎつけた。指名あいさつ時から石井一久監督は「中心選手になってほしい」と期待。立大からのドラフト1位は、やはり長身右腕で楽天に指名された戸村健次投手(2010年入団、19年に引退)以来となった。

 初勝利の後、前半戦最後の登板となった7月12日の日本ハム戦でも六回途中で1失点と試合をつくったが、すぐさま2勝目とはならなかった。六回、先頭打者を打ち取ってから連続四球を与えて降板。石井監督は「これから勝っていくためには、隙のない投球が大事になる。この回を終わらせられるな、と思い始めると走者を背負ってしまう。それも打たれてならいいが、自分から放棄して一塁に歩かせてしまう。その辺が改善点かな」。あえて辛口の評価をし、さらなる成長を促した。

 プロでの確かな一歩を踏み出したことで、荘司に気持ちの変化もあったという。「今までは目先(の目標)だったが、もう少し先のところまで考えながら過ごせるようになった。オールスター戦を挟むが、それ以降、この調子でやっていけるように」。勝負の後半戦へ。先発ローテーションを守り切る強い決意が備わった。

◆プロ野球インサイド 記事一覧

プロ野球インサイド バックナンバー

話題のニュース

会員限定

ページの先頭へ
時事通信の商品・サービス ラインナップ