会員限定記事会員限定記事

初ガツオ、豊漁で値下がり 不漁の昨年から一転【豊洲発 新鮮!魚の情報】

2023年05月21日14時30分

 今年はカツオの水揚げが春から順調で、各地の魚市場には豊富な入荷が続いて卸値も値下がりしている。昨年が記録的な不漁だったことから、卸や小売り関係者は巻き返しに躍起で、スーパーなどで特売される機会が増えている。(時事通信水産部 荒木建)

 主要水揚げ港の一つ、千葉県の勝浦港では4月から5月19日までの生鮮カツオの水揚げ量が約2800トンと、前年同時期の1.5倍に増加。このほか、静岡や三重、愛媛、高知、宮崎、鹿児島県の各港でも好調な水揚げが続いている。

 漁業情報サービスセンター(東京)によると、5月上旬現在、カツオ漁は高知県沖から和歌山県の潮岬沖までの黒潮流域と、伊豆諸島近海、九州近海など複数の漁場が形成されており、同センター水産情報部は「全般に漁模様は良好」としている。

 今年の特徴は、日本の近海を北上して、夏以降の漁獲対象となる1~2キロの小型魚が多い。秋の戻りカツオ漁にも期待が持てるという。

 なお、昨年のカツオ漁は、春先から各地で5キロ以上の大型魚が多く漁獲され、夏以降は漁獲が急減した。宮城県の気仙沼港では昨年、最盛期の8~11月の水揚げが例年の3分の1以下にまで激減。宮城県の水産会社の関係者からは「ここまで水揚げが悪化したのは過去に前例がない」との悲痛な声も聞かれた。

割安感に加え「脂乗りが良い」

 豊漁を受けて東京・豊洲市場(江東区)の取引価格も値下がりしている。5月中旬の1匹2.5キロ前後サイズの卸値は1キロ当たり400~800円で、前年同月より1~3割安。ここ数年でも最も高値が続いた昨秋に比べると、半値近くまで値下がりしている。割安感に加え、豊洲の卸会社の担当者が「今年は初ガツオの時期にしては珍しく、脂乗りが良い」と話すように、魚への評価も高い。

 首都圏の量販店では、大型連休明け以降からカツオの特売が活発化。刺し身用にカットされた1さくが都内のスーパーでは600円前後で、昨年の5月より2割以上安い。都内のある大手スーパーの売り場担当者は「最近は冷凍カツオのたたきが主流だったので、生の刺し身用を安く提供できるのは数年ぶり。週末は特に売れ行きが良い」と声を弾ませていた。

◆豊洲発 新鮮!魚の情報 記事一覧

豊洲発 新鮮!魚の情報 バックナンバー

話題のニュース

会員限定

ページの先頭へ
時事通信の商品・サービス ラインナップ