梅の香りを楽しむ 季節の絶品みそ

2023年05月22日13時00分

 梅雨は、読んで字のごとく梅が旬を迎える季節。この時期になると、青梅を使って自家製の保存食を作る、いわゆる「梅仕事」をする人も多いことだろう。梅を使った手作り保存食といえば、梅干しや梅酒は広く知られているが、梅とみそを使ってできる絶品の保存食があるという。

 教わったのは、手作りみそをさまざまな料理に活用している、みそコンシェルジュの松田敦子さん。京都府長岡京市で30年近くみそ作り教室を続け、今年、『毎日食べたい5倍麹みそ』を出版した。

甘酸っぱさがクセになる「梅みそ」

 みそ作り教室を長年続けている松田さん。教室や自宅で通年みそを作り続けているが、梅雨時になると必ず作るのが「梅みそ」だという。

 「青梅をみその中に漬けて作るんです。梅から出る水分とともに、梅の自然な香りと酸味、うま味が溶け込んだみそで、甘酸っぱさがクセになるおいしさです。野菜や魚介類などのお料理に酢みそのようにかけて使うと、とってもぜいたくな味になりますよ」と松田さんは話す。

 早速、その作り方を教えてもらった。材料と作り方は以下の通り。

(材料)
・梅の実 300グラム
・米みそ※ 300グラム
 ※松田さんは自家製の「5倍麹(こうじ)みそ」(詳しくは後述)を使用
・砂糖 200~300グラム

 「梅の実は水でさっと洗ってヘタを取り、水気を拭いておきます。梅が全量入るくらいの大きさの瓶に半量のみそ、梅、砂糖、残りのみその順番に入れます。瓶のふたをして約2週間常温に置き、梅から水分が出て萎(しぼ)んだら取り出します」

 完成した梅みそは、冷蔵庫で約1年間保存することが可能とのこと。そのおいしい食べ方を聞いてみると

 「そのまま野菜、魚介類(たこ・あじ・すずきなど)によく合います。南高梅などの梅干し用の梅を使った時は、取り出した果肉をフードプロセッサーなどで潰して、もう一度みそに漬け込んでおくといいですよ」と、松田さんは教えてくれた。

最短2週間で作れる「5倍麹みそ」

 「材料」のところで触れた自家製の米みそは、大豆の5倍の量の麹を使う「5倍麹みそ」。どんなみそなのか、松田さんに話を聞いた。

 「麹をたくさん含んでいるので、うま味とコクが増した味わいが特長です。この5倍麹みそは、最短2週間で作ることができます。農家だった私の実家の母が作っていたみそを、私なりに工夫して開発しました。みそ作り教室は、近所の子育て仲間から「作り方を教えてほしい」と言われたことをきっかけに、30年近く続けています」

 5倍麹みそは、一般的な米みそ同様にみそ汁に使えるのはもちろん、今回紹介した梅みそなど幅広い用途があるという。

 「みそは半年や1年に一度まとめて作れば、そのまま和洋中のお料理に使えるのはもちろん、こういったアレンジみそも楽しめます。ゆでただけ、切っただけの簡単なお料理も、手作りみそがあると格段においしく楽しめます」

 梅の豊かな風味を生かした梅みそ。ぜひ挑戦してみてはいかがだろうか。


 松田さんの著書『毎日食べたい5倍麹みそ』では、5倍麹みその作り方や、みそを使ったレシピ、健康メリットなどを詳しく紹介している。

 松田 敦子(まつだ・あつこ) 1962年生まれ、大阪府出身。兼業農家に生まれ、母親の作るみそを食べて育つ。製薬会社に勤務後、自身の子育てをきっかけに、みそ作りを開始。以来、30年近く全国各地で約2万人にみそ作りを指導する。現在は、京都府長岡京市を中心に、5倍麹みその作り方やみその使い方を伝えている。2023年1月に慶応義塾大学医学部教授・医学博士・理学博士の井上浩義氏監修による『毎日食べたい5倍麹みそ』を刊行。5倍麹みその作り方や、梅みそやみそ床の作り方、みそを使ったレシピを幅広く紹介している。日本予防医学会認定予防医学指導士、日本抗加齢医学会正会員、食生活アドバイザー、栄養士、京都府認定きょうと食いく先生。

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