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昨季の新人王・西武の水上由伸、反骨心も胸にセットアッパー復活へ

2023年04月25日12時10分

 プロ野球西武は昨季、チーム防御率がパ・リーグトップ。勝ちパターンを支えた一人が、水上由伸投手だった。同僚の平良海馬投手とともに35ホールドポイントをマークして最優秀中継ぎのタイトルを獲得し、新人王にも輝いた右腕だ。今季は平良が先発に転向したこともあってリリーフの柱としての期待を背負ったが、開幕して2試合登板した後にファームでの再調整を命じられた。ただし、本人は下を向いていない。ふつふつとした反骨心も抱きながら、不動のセットアッパーに向けて汗を流している。(時事通信運動部 岩尾哲大)

 水上の今季初登板は4月2日、オリックスとの開幕3戦目だった。1―1の八回にマウンドへ。先頭打者に四球を与え、犠打と右飛で2死三塁とされたところで左腕の佐藤隼輔投手にスイッチされた。打者は左の森友哉選手だったとはいえ、「あそこで代えられた時点で、今はいいところで投げられないな」と悟ったという。

体は「全然悪くない」

 4月9日のソフトバンク戦は0―3の六回に登板。1回を無失点に抑えたものの、1安打2四球で満塁のピンチを招いた。翌日、出場選手登録を抹消された。体の状態は「全然悪くない」といい、「悔しかったっすね」。そうつぶやいた。

 数字の上で昨季と違いが出ているのが球速。直球が140キロ台前半で、水上自身、オープン戦の頃から「もう少し球速が上がってくれば」と話していた。球威が戻らないと「切羽詰まる場面が増える」と言う。もう一つ、本人の中で納得できていないのは武器のシュート。「切れが戻っていない」と率直に語った。

昨季60試合に登板

 長野県南部、中央アルプスなどを望む宮田村の出身。山梨・帝京三高から四国学院大を経て育成ドラフト5位で入団した。1年目の2021年途中に支配下登録され、29試合に投げた。そして2年目の昨季は60試合に登板し、防御率1.77の好成績。育成出身でパ・リーグの新人王に選ばれたのは初めてだった。

 大きく飛躍した昨季の疲れを持ち越しているのか。そこを本人に聞くと、「ないと思っているが、分からない。知らない間に疲れが残っているかもしれないし」。その上で「でも、そんなこと言っていられないので。疲れたと言って終わるのなら、僕はたぶん、そこまでの選手」と、引き締まった表情で言った。

育成からはい上がる時期も思い出して

 良かった時の投球フォームとのずれを映像で確認し、修正を図ろうとしている。一番のチェックポイントは「タイミング」だという。1軍メンバーではない時期だからこそ、「上に行ったら、こういう練習はできない。すごくいい時間にはなっている」。昨季は新型コロナウイルス検査で陽性となり特例で抹消されたことはあったが、ファームで集中して練習するのは入団1年目以来。育成からはい上がってきた当時を思い出す部分もあるという。

 自分のいない1軍の試合がテレビで中継されていると、「いい意味で、なんか腹が立ちますね」と負けん気の強さをのぞかせた。「見ておけよ、ぐらいの気持ちです」。強気の投球で、再びチームを支える時がきっと来る。それまでにしっかりと、爪を研いでおく。

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