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タラバガニの半値、味も上々…「ゴールデンキング」とは? 米のロシア産禁輸で日本にも【大漁!水産部長の魚トピックス】

2023年03月25日22時00分

 昨年以降、タラバガニやズワイガニ、ケガニなど、カニの高値が目立つ。そんな中、「ゴールデンキングクラブ」という少し聞き慣れない大型のカニが台頭してきた。味の評判も上々。食べ応えの良さで人気のタラバよりも大幅にお買い得とあって、評価がじわじわと上昇している。(時事通信水産部長 川本大吾)

 ゴールデンキングは、ほぼ全身がとげで覆われ、脚などにやや丸みがある。タラバなどに比べるとややオレンジがかった色をしている。和名は「イバラガニモドキ」といい、オホーツク海やベーリング海などに生息。ロシアが主な原産国で、日本での漁獲は少ない。

 近縁種の「イバラガニ」は漁獲量が少なく、「モドキ」の方が流通量は多いという。しかも、タラバと比べても「甘みがあっておいしい」と言われており、単に「イバラガニ」として流通することも少なくないようだ。

ウクライナ侵攻で「大幅に安く」

 水産関係者によると、ゴールデンキングはこれまで米国ではタラバと同様に人気があり、たくさん消費されていた。しかし、ロシアのウクライナ侵攻に伴い、米国がロシア産水産物の禁輸に踏み切ったことで、膨らんだ在庫が日本へ入るようになってきたという。

 ロシアの業者とカニを取引する日本の水産業者は、「これまでゴールデンキングを仕入れようとしても、米国の需要が高いことから値段が高く、なかなか取引できなかった」と説明する。しかし、米国のロシア産水産物の禁輸以降は「現地の業者から大幅に安く仕入れられるようになった」と話す。

築地場外でも「少しずつ受け入れられた」

 日本では年末、カニの需要が高まる。東京都中央区の築地場外市場の鮮魚店でも昨年末、ゴールデンキングが販売されていた。冷凍魚介を扱う「極東食材」では、600~800グラムの脚「1肩」が税込み3500円。タラバの7000~8000円の半額ほどと、かなりお買い得だった。同社の林良和社長は「名前が知られていないため、売れ行きは決して良くなかったが、おいしくて安いことが少しずつ受け入れられ、次第に販売量は増えてきた」と手応えを感じている。

 場外市場に3月中旬オープンしたカニ専門の飲食店「築地 かに祭り」でも、ゴールデンキングを食べ放題のメニューに起用するなど、積極的に売り込んでいる。旬は6月から8月とされているが、同店のオーナーは、「身がたっぷり入っておいしい時期のゴールデンキングを冷凍保存しているため、いつでも食べごろ」とPRしている。

 ゴールデンキングは大手スーパーや居酒屋チェーンなどでも扱われている。昨年末、タラバなどが高くて買い控えたという人は、一度試してみる価値はありそうだ。

(2023年3月26日掲載)

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