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JDリーグ唯一のクラブチーム大垣ミナモが迎えた開幕 女子ソフトボール

2022年04月05日17時00分

 女子ソフトボールのニトリJDリーグは4月2、3日の第1節15試合(1試合は雨天順延)で16チームが全て開幕を迎えた。企業チームが並ぶ中、JDリーグが掲げる「地域貢献」を創設当初から掲げてきたのが、唯一のクラブチームで、岐阜県大垣市を本拠地とする大垣ミナモ。実力でも地域貢献でも新リーグで輝くチームを目指して、スタートを切った。

満塁アーチで開幕戦勝利

 3月28日にビックカメラ高崎とトヨタが開幕戦を行ったJDリーグ。14チームにとっては2日が初戦で、大垣ミナモは群馬・高崎市ソフトボール場で戸田中央と対戦した。望月孝雄監督は選手たちに「開幕戦でお互いに緊張すると思うが、ワクワク感を持ってやろう」と声を掛けたという。

 開幕投手は新加入の右腕シエラ・ハイランド。東京五輪のメキシコ代表で、救援投手として投げている。来日初登板を援護したのは捕手で4番の田立梨子。三回2死満塁で、昨季の最多勝投手ジョーダン・テーラーからレフトに満塁本塁打を放った。

 4-1の快勝。田立は「シエラがテンポ良く投げていて、自分は満塁で回してくれたので絶対に点を取ってやろうと思いました」と声を弾ませた。

 第2戦も勢いは続いた。二回に山口涼香、西野希美、近本和加子の3連打で1点。三回には長井美侑の犠飛で1点を加える。投げては先発の2年目・中山日菜子が3回を無安打に抑えた後、ベンチは慎重に東京五輪オーストラリア代表のエレン・ロバーツへスイッチ。五回に1点を返されたが、六回から連投のハイランドが七回2死三塁まで漕ぎ着けた。

 しかし、ホンダの主将、長谷川優理にカウント1-2からライナーで2ランを打ち込まれ、あと1人で連勝を逃した。「改めて1球の怖さ、一発の怖さを味わった。チャンスにあと1点、追加点が取れなかったのも響いた」と望月監督。

 早めの継投が裏目に出たとも言えるが、中山は良いイメージを残して次回のマウンドに上がれる。ハイランドは早いうちに日本の打者の怖さを実感したことが、これからの長丁場に生きるだろう。

国体から生まれた地域のチーム

 JDリーグは、「企業スポーツは日本独特の文化」(島田利正チェアマン)として、これまでの日本リーグを土台に新しい企業スポーツのあり方を探ることも目的の一つ。旧2部の4チームを加えた16チームには、有名企業が多い。

 その中で、大垣ミナモだけがクラブチームとして運営されている。2012年岐阜国体のソフトボール成年女子に出場するため、10年にチームを作ったのが始まり。地元の企業(現在11社=イビデン、大垣共立銀行、大垣西濃信用金庫、大光、サンメッセ、神鋼造機、西濃運輸、太平洋工業、JAにしみの、日本耐酸壜工業、矢橋ホールディングス)が出資して各社のトップと幹事が運営に当たり、選手たちは各社に1~3人ずつ雇用されて働きながらプレー。35のパートナー企業・団体と一般の法人・個人から成る「育てる会」が支えている。

 日本リーグには13年に加入した。念願の1部昇格を果たした18年は5勝(17敗)したが、わずかの差で12位となり、2部へ戻った。

 2度目の1部昇格を果たした昨季は、4月にトヨタとビックカメラ高崎を破り、とりわけ大垣での試合だったトヨタ戦は、地域の人たちを大いに沸かせた。最終成績は8勝14敗で10位。課題とともに手応えと楽しみを持ってJDリーグの一員となった。

ミッション実現の先頭に

 JDリーグは、東西2地区に分かれての地区リーグ戦と交流戦でレギュラーシーズンを行う。東地区の6チームはビックカメラ高崎など強豪がそろい、昨季の順位で言えば大垣ミナモより下位は2部だったNECプラットフォームズだけ。「失うものはない。最後まで諦めずに戦う」と望月監督。地理の上でも一番西にあり、関東などへの遠征が多い。

 昨季後半から加わったロバーツにハイランド、中山らを中心に投手陣を固め、守備力の向上で失点を減らすことが大きな課題になる。第1節は左翼手・伊藤梨里花のスーパーキャッチなど内外野ともいいプレーがあったが、望月監督は「この2試合は人工芝。これから土のグラウンドでどうか」と引き締めた。

 高崎の応援席で応援団をリードした林貴久さん(太平洋工業理事)は「これまでも応援は大変でしたが、遠征先にどこかの支社などがあったりして、観客動員数は多いですよ」と力を込める。

 古田肇岐阜県知事も球場へ足を運び、昨季で途切れるまでは「応援不敗神話」があったという。今季は公式グッズに選手名タオルとエコバッグが加わった。ホームゲームへ向け、ネットのギフティング(投げ銭)システムを使った応援イベントも実施する。

 林さんは「JDリーグのミッションである『ソフトボールで社会に笑顔を』という地域貢献は、まさに大垣ミナモが当初から目指してきたところ。頑張って盛り上げていきたい」と話していた。(時事通信社 若林哲治)

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