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日銀・金融政策
【図解】日銀、新体制へ移行
クレディ・スイスの経営問題などを受けた金融システム不安が広がる20日、日銀の副総裁に内田真一、氷見野良三両氏が就任した。来月9日には10年ぶりの総裁交代も控えており、新体制は「危機対応モード」での船出となる。世界的な金融危機再来の回避へ各国金融当局が対策を急ぐ中、日銀は政府とも連携して一段と警戒を強める考えだ。
日銀本店=東京都中央区(AFP時事)
日銀は20日、今月9、10日に開いた金融政策決定会合の「主な意見」を公表した。上昇率2%の物価目標について、政策委員の1人は「堅持することが極めて重要だ。(見直しの)議論を始めると政策運営に関する無用な臆測を招く」と強調。2%目標を明記した政府・日銀の共同声明に関しても「改定の必要性はない」と指摘した。
内田真一氏(写真左)と氷見野良三氏
政府は17日の閣議で、日銀副総裁に内田真一日銀理事(60)と氷見野良三前金融庁長官(62)を任命することを決定した。発令は20日付で、任期は2028年3月までの5年間。
日銀は15日、1月17、18日に開いた金融政策決定会合の議事要旨を公表した。市場で台頭していた昨年12月に続く政策修正観測を巡り、委員の一人は「時間を置かずに再び運用を見直すと、かえって先行きの政策運営に関する不透明感を高める」と指摘。何人かの委員も、長短金利を操作する緩和策について「継続する必要があることを改めて丁…
首相官邸に入る岸田文雄首相=10日、東京・永田町
日銀の次期総裁人事が10日、国会の承認を経てようやく決まった。岸田文雄首相は、アベノミクスの柱である大規模金融緩和を当面続ける姿勢を示す経済学者の植田和男氏を選び、自民党最大派閥・安倍派との衝突を回避。ただ、植田氏がいずれ金融政策の正常化を探り始めれば、首相を巻き込んだ対立の再燃は避けられないとの見方が、党内には根強…
金融政策決定会合後の記者会見で質問者を指名する日銀の黒田東彦総裁=10日午後、日銀本店
歴代最長となる2期10年の任期満了を1カ月後に控え、黒田東彦日銀総裁にとって最後の金融政策決定会合が10日に終了した。2013年の就任直後に国債の買い入れを倍増させる「異次元」の金融緩和を断行し、金融政策の限界にも挑んできた。しかし、2%の物価上昇目標は達成できないまま退任する。長引く低金利の副作用も目立つ中、目標の…
金融政策決定会合を終え、記者会見する日銀の黒田東彦総裁=10日午後、日銀本店
日銀は10日、前日に続き金融政策決定会合を開き、大規模な金融緩和策の継続を全員一致で決定した。4月8日に任期満了を迎える黒田東彦総裁は記者会見で、10年間の金融政策運営を振り返り、「金融緩和は成功だった」と述べる一方、2%の物価上昇目標については「持続的・安定的な実現まで至らなかったことは残念だ」と語った。
松野博一官房長官は10日の記者会見で、2%の物価上昇目標を明記した政府・日銀の共同声明を見直す必要性に関し、「引き続き政府との連携の下、適切な金融政策運営が行われることを期待している。新しい総裁とも議論する必要がある」と述べた。(2023/03/10-10:26)
急低下した長期金利を示すモニター=10日午後、東京都中央区
10日の東京債券市場で、長期金利の指標となる新発10年物国債の流通利回りが一時0.385%と、1月24日以来、約1カ月半ぶりの水準に急低下(債券価格は急上昇)した。日銀が同日、大規模金融緩和策の維持を決めたと公表した後、政策修正を期待していた投資家による買い戻しの動きが広がった。関係者からは「正常な利回りにはなってい…
金融政策決定会合に出席するため、日銀本店に入る黒田東彦総裁=10日午前(代表撮影)
日銀は10日、前日に続き金融政策決定会合を開き、全員一致で現在の大規模な金融緩和策の維持を決定した。容認する長期金利の変動幅上限は0.5%程度に据え置くとともに、2%の物価上昇率目標を安定的に実現するため「必要な時点まで、金融緩和を継続する」との姿勢を示した。
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