時事ドットコムニュース
特集
時の羅針盤 識者に聞く
酒井克彦 中央大法科大学院教授(本人提供)
―インボイス導入の意義は。
売り手と買い手双方が税額や税率をチェックできるため、不正のしにくい「自律的社会」に移行する契機になる。これまでは税務署の税務調査で取引の適正性が担保されていたが、税務調査に使われる行政資源の節約や効率的な配分も可能になる。
消費税の納税が免除されている免税事業者の一定数は、(インボイスが発行できず)取引から排除されることを恐れ、課税事業者に転換する。消費税相当額を価格転嫁していた免税事業者がいるとすれば、(納税せずに手元に残る)「益税」の解消にもつながる。
平田麻莉 プロフェッショナル&パラレルキャリア・フリーランス協会代表理事(本人提供)
―制度導入でフリーランスへの影響は。
消費税という仕組み自体が分かりづらい上、インボイスの導入で、どうしたらいいのか分からないという不安と混乱がある。政府は、税務リテラシーが高くないフリーランスや小規模事業者の目線に合わせた情報発信を続けてほしい。制度に登録していないことを理由に、免税事業者との契約を、課税事業者が一方的に打ち切ることは法令違反になるという啓発も足りていない。
元官房副長官補の兼原信克氏(笹川平和財団提供)
【ニューヨーク時事】国家安全保障に詳しい元官房副長官補の兼原信克氏はオンラインで時事通信のインタビューに応じ、2020年代のうちに起こり得るとの見方がある台湾有事について「(中国軍は)能力的に開戦可能だ」との見解を示した。軍備拡張を進める中国の武力侵攻を防ぐ上で、先端半導体の対中輸出管理強化がカギを握ると指摘。巨大市…
インタビューに応じるフィンランドのミッカネン環境・気候相=22日、ヘルシンキ
【ヘルシンキ時事】フィンランドは昨年7月、温室効果ガスの排出量を2035年までに実質ゼロにすることを、法的に義務化した。世界でも野心的な目標だ。同国のミッカネン環境・気候相はこのほど時事通信などのインタビューに応じ、「脱炭素と同時に、関連産業を急成長させる」と意気込みを語った。その上で、原発も含めたクリーンエネルギー…
インタビューに答える在英のNGO「シリア人権監視団」のラミ・アブドルラフマン代表=9月26日、カイロ近郊ギザ
【カイロ時事】内戦下のシリアの状況について反政権の立場から伝えている在英のNGO「シリア人権監視団」のラミ・アブドルラフマン代表が時事通信のインタビューに応じ、シリアでは民兵組織が各地で力を保ち、アサド大統領の統治が不安定な状況にあると強調した。近隣のアラブ諸国は民兵が力を増して体制が一層不安定化することを懸念してい…
インタビューに答える国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)のラザリニ事務局長=1日、東京都千代田区
来日中の国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)のラザリニ事務局長が1日、東京都内で時事通信のインタビューに応じ、難民支援に向けた連携強化のため、日本に拠点を設置すると明らかにした。「市民社会や企業など民間の理解を広げたい」と期待を示した。
インタビューに答える東洋大学の野崎浩成教授=8月17日、東京都文京区
28日に非上場化するSBI新生銀行について、金融論に詳しい東洋大学の野崎浩成教授が時事通信の取材に応じた。経営課題の約3500億円に上る公的資金に関し、野崎氏は「長期で分割返済を進めるのが基本」と指摘。国が預金保険機構などを通じて持つ同行の普通株を優先株に転換し、特別配当を実施するといった手法が現実的との見方を示した…
インタビューに応じる名古屋大の武村雅之特任教授=8月17日、東京都八王子市
武村雅之・名古屋大減災連携研究センター特任教授(地震学)の話 関東大震災は震源域から考えれば神奈川県の地震だが、実際は被害の7割が東京で、そのほとんどは二次災害である火災が原因だ。江戸時代に起きた元禄や安政の地震と比べても格段に被害が大きい。発生時刻や風の強さだけが原因ではなく、当時の東京が燃えやすい街だったことが最大の理由だ。地盤の悪い地域に次々と工場を建て、木造の家を密集させた明治以降の間違った都市計画が背景にある。
インタビューに応じる明治大の青山※(ニンベンに分の刀が月)名誉教授=8月17日、東京都千代田区
元東京都副知事の青山※(※侑のツクリのナを八に)・明治大名誉教授(公共政策)の話 関東大震災の最大の遺産は、復興計画で放射道路と環状道路を組み合わせた東京の都市構造を決めたことだ。火災で多くの死者を出したことを教訓に、広い道路が必要だという考えの下、昭和通りや靖国通りなどの代表的なインフラが整備された。
インタビューに答える東短リサーチの加藤出社長=17日、東京都中央区
―植田日銀総裁の政策運営への評価は。
2%の物価上昇を定着させるため金融正常化に慎重で、膨らんだ政府債務や住宅ローンへの影響についても金利上昇に脆弱(ぜいじゃく)だと判断しているのだろう。ただ、ガソリン価格上昇や円安による輸入物価上昇で消費が停滞気味となっているのに、(大規模金融緩和策の継続により)ほぼ全力で円安誘導している状態だ。
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