時事ドットコムニュース
特集
【バックナンバー】環境・科学ジャーナリスト 佐藤年緒
スコットランド戦の前半、トライを決める日本代表の福岡堅樹(右)=2019年10月13日、横浜国際総合競技場【時事通信社】
ラグビーワールドカップ(W杯)の準々決勝で南アフリカに負けた日本代表チームながら、選手たちの表情は爽やかだ。「力を出し尽くした」という達成感にあふれている。振り返れば、大きな意味を持ったのが10月13日のスコットランド戦だった。台風受難のW杯の中で、この試合は台風通過直後でも開催が可能になった。準決勝、決勝の舞台にもなっているこの横浜会場には、実は長く洪水と向かい合ってきた川の歴史が背後にある。
「一家に一台」の天体望遠鏡キットの箱。この望遠鏡で月の山や谷も分かり、写真撮影できる(筆者提供)
宇宙の成り立ちや人類の起源の謎を追う。一般の人の科学的な好奇心を育みながら「夢」を追う二つのプロジェクトがともに、この7月に成果を見せた。分野は異なるが、「ガリレオ天体望遠鏡の普及」と「3万年前の航海の再現実験」。その成功に共通する精神は何であろうか。
風に乗って飛散するスギ花粉【時事通信社】
「令和」の時代に期待感が高まる。とはいえ、残念なことに「昭和」「平成」とわが国が選択してきた資源・エネルギー政策のもたらした人の健康や環境問題のツケは、新時代に持ち越される。典型は、花粉症、温暖化による被害、そして放射性廃棄物の処分である。いわば自然界からのしっぺ返しとも言える未解決課題だが、その解決に向けて「令和」の時代には、人と自然との「調和」が一層迫られることになる。
和歌山県太地町の港に停泊する小型捕鯨船「第七勝丸」=2018年12月【時事通信社】
「保護」か「商業捕鯨再開」か。日本政府がIWC(国際捕鯨委員会)からの脱退を決めたことで、長年続いた政治的な対立に終止符を打つことができるだろうか。IWCの舞台を離れても、この対立の間に横たわる「動物の管理」をめぐる欧米との認識の溝を、あらゆる場で埋める日本の努力や説明力が問われている。
ノーベル賞授賞式後の晩さん会で、スピーチする医学生理学賞の京都大学・本庶佑特別教授=12月10日、スウェーデン・ストックホルム[代表撮影]【時事通信社】
免疫を利用した新たながん治療薬の実用化に道を開いた功績で、ノーベル医学生理学賞を受賞した本庶佑・京都大特別教授が、スウェーデンでの華やかな授賞式や祝賀行事を終えて帰国した。この受賞は2018年の数少ない明るい話題の一つだったが、本庶さんが日本の科学研究や教育に対して呈したいくつもの苦言は神髄を突くものが多い。それを今後どう生かすか。歴代のノーベル賞受賞者の口からも共通に、日本の研究環境への危機意識や悲痛な訴えが聞かれるのだ。
新着
会員限定