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特集
点描・永田町
自民党の河井克行前法相(右)と妻の案里参院議員=いずれも2020年1月20日、国会内【時事通信社】
通常国会序盤の与野党攻防の焦点が「桜を見る会」と「IR汚職」から「新型肺炎」に移る中、安倍晋三首相らが秘かに「政局の時限爆弾」(自民党幹部)と恐れているのが、河井克行前法相と妻の案里参院議員に対する公職選挙法違反(買収)疑惑での広島地検の捜査の行方だ。疑惑浮上後の「空気を読まない無責任な言動」(同)などから、永田町やメディアで“広島のバカップル”と呼ばれている河井夫妻だが…。
立憲民主党の枝野幸男代表(右)と国民民主党の玉木雄一郎代表=いずれも2020年1月22日、国会内【時事通信社】
令和2(2020)年の政局で最初の舞台となる通常国会召集時に、立憲民主党と国民民主党の合流協議が頓挫したことが、安倍晋三首相らを安堵(あんど)させている。巨大与党に対峙(たいじ)する「ワンチームの“1強野党”」(立憲若手)を目指して、年をまたいで交渉を続けた両党だが、国会召集翌日の1月21日に出した結論は「当面、合流は見送り」という「事実上の破談」(同)だった。
記者会見で第1子誕生について質問を受け、笑顔を見せる小泉進次郎環境相=2020年1月17日、東京・霞が関【時事通信社】
小泉進次郎環境相の第1子誕生に伴う「イクメン宣言」が、永田町でも議論の的となっている。2019年夏のフリーアナウンサー・滝川クリステルさんとの結婚の際、育児休暇取得に前向きな姿勢を示した小泉氏だが、環境相として初入閣したことで対応が注目されていたからだ。小泉氏は20年1月17日の男児誕生前の15日に「3カ月で2週間程度の育休を取る」と宣言したが…。
時事通信社などが主催した新年互礼会であいさつする安倍晋三首相=2020年1月7日、東京都千代田区の帝国ホテル【時事通信社】
憲政史上最長の在任9年目に入った安倍晋三首相が、2020年の仕事始めの新年会などで口にした「ユズは九年」という言葉が永田町にざわめきを広げている。首相(自民党総裁)としての任期について、誰もが知ることわざに引っ掛けて本音を吐露したともみられるからだ。永田町では、東京五輪・パラリンピック後の20年秋の“勇退”を意味する「五輪花道」説から総裁任期再延長などによる「4選論」まで、さまざまな憶測が飛び交っているだけに、年明け早々にあえて退陣時期に触れてみせた首相の狙いが、今後の政局展開を占うカギとなりそうだ。
桜と国会議事堂=2019年4月2日、東京・永田町【時事通信社】
歴史的な令和元年が、間もなく終わる。毎年恒例の今年の漢字は「令」で、流行語大賞は「ワンチーム」。新元号と史上初の日本チームのラグビーワールドカップ(W杯)ベスト8がそれぞれの決め手で、いずれも後世に語り継がれることは間違いない。しかし、政界に限れば、漢字も流行語も「桜」という声があふれている。
臨時国会の閉幕を受け、記者会見する安倍晋三首相=2019年12月9日、首相官邸【時事通信社】
いわゆる“花見政局”で師走の永田町にざわめきが拡大し続ける中、安倍晋三首相の悲願とされる憲法改正の任期中実現が、困難視される状況となった。首相の強い意欲とは裏腹に、国会での論議が遅々として進まないからだ。2カ月余にわたった臨時国会でも、衆参両院憲法審査会での本格的改憲論議は始まらず、その前段となる国民投票法改正案議決も、年明けの次期通常国会以降に先送りとなった。
中曽根康弘元首相(左)と安倍晋三首相【時事通信社】
中曽根康弘元首相が11月29日、死去した。首相在任1806日は戦後5番目で、国鉄、電電、専売3公社の民営化というレガシー(政治的遺産)を政治史に刻んだ。その功績もあって大勲位菊花大綬章を生前受章し、以来政界では「大勲位」と畏敬されてきた。憲法改正実現を悲願とした首相としての生き方は、11月20日に史上最長政権という勲章を手にした安倍晋三首相と重なる。
地方政調会で憲法改正について語る自民党の岸田文雄政調会長=2019年12月2日、福島県郡山市【時事通信社】
「桜を見る会」での私物化批判で安倍1強政権の動揺が目立つ中、ポスト安倍を目指す岸田文雄政調会長が“変身”に躍起となっている。「リベラルの砦(とりで)」とされてきた宏池会(岸田派)の領袖(りょうしゅう)なのに、首相が悲願とする憲法改正を党三役として積極的に後押ししているからだ。決断・行動力不足との批判払拭(ふっしょく)の思惑もあるが、党内の反応はいまひとつで、国民の期待度上昇にも結び付いていない。
「桜を見る会」をめぐる問題について、記者団の質問に答える安倍晋三首相=2019年11月15日、首相官邸【時事通信社】
永田町では今、季節外れの「桜」が話題だ。長年にわたって4月に開催されてきた首相主催「桜を見る会」をめぐる“私物化”批判で、安倍晋三首相が窮地に追い込まれているからだ。首相自身が主役となって税金が使われる公的行事に、「長年の慣行」を理由に地元山口県から多数の支援者を招いていたことで、野党や国民から厳しい批判が巻き起こり、一気に「首相のスキャンダル」に発展して…。
河井克行法相の辞任を受け、陳謝する安倍晋三首相=2019年10月31日、首相官邸【時事通信社】
まだまだ続くとみられていた、中央政界での「安倍1強」の構図が揺らぎ始めている。第4次安倍再改造内閣発足からわずか1カ月半余で経済産業相、法相という主要2閣僚が「政治とカネ」のスキャンダルで辞任し、同時進行で文部科学相の問題発言をきっかけに、安倍晋三首相の肝煎りで進められてきた教育改革の一環となる大学入試共通テストでの英語民間試験実施が、予定されていた2020年度からの実施の見送りを余儀なくされたことなどが、背景にあるとみられている。
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