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山田べにこ「野天湯へGo!」

石川県岩間噴泉塔(1)

 全国の秘湯を巡る乙女、山田べにこさん。今回は石川県白山市の白山ろくにある岩間噴泉塔を訪ねます。「噴泉塔」とは聞き慣れない言葉ですが、温泉に含まれる成分が地上で固まり、塔のようにそびえ立ったもののことです。岩間地区の噴泉塔は、温泉の湧出に伴って成長していく極めて珍しいものなのですが、存在するのはハンパじゃない山の奥。べにこさんは、道なき道をたどり、噴泉塔とそこから湧き出る温泉を目指します。(このコンテンツはCS放送「旅チャンネル」の「野天湯へGo!」を元に制作しています。)

 石川県の温泉と言えば、加賀温泉郷の山代温泉、片山津温泉などが有名ですが、県南部の山間にも温泉地が存在します。石川・岐阜県境に位置する白山は、言わずと知れた日本3名山のひとつ。霊峰として古くから信仰の対象になってきましたが、その北側の山ろくにも多くの温泉が湧き出ています。

 今回の最終目的地である岩間噴泉塔は、白山ろくに湧出する温泉の最も奥深い部分と言えるのです。もちろん、「秘湯」ですから簡単には行けません。そこで、べにこさんは岩間噴泉塔へ向かう前に、もう少しアプローチしやすい野天湯を目指すことにしました。

 県都・金沢市から自動車で1時間ほど走ると、白山市に到着します。白山市はその名が示す通り、白山のふもとにありますが、ここから岐阜県の白川村まで、山岳地帯を縫うようなルートで「白山スーパー林道」が通っています。そのスーパー林道の途中に、絶景の野天湯があるのです。

 白山市側からスーパー林道に入り、4キロほど走ると、道路脇に「蛇谷園地」という看板の掛かった駐車場があります。ここは、日本の滝100選のひとつにも選ればれた名瀑「姥ヶ滝」の入り口で、紅葉シーズンには多くの見物客でにぎわいます。その姥ヶ滝を正面に見渡せる場所に野天湯があると聞いて、べにこさんが素通りできるはずがありません。

 蛇谷園地の駐車場から野天湯へ行くには、谷底まで階段とかなり急傾斜の道を降りなくてはなりません。スーパー林道は、谷川に沿った斜面の上の方を通っていますが、目指す野天湯は、V字渓谷の底にある谷川の脇にあるからです。

 もっとも、道なき道を踏破して秘湯を巡るべにこさんにとっては、傾斜が多少きつくても苦にはならないようです。駐車場から標高差で50メートルほど下り、20分ほど歩くと、谷川の音が聞こえ、ほのかな硫黄の香りがただよってきました。温泉マニアのべにこさんは、硫黄の香りをかぐと、スイッチが入ってしまうようです。駆けるようにして先を急ぐと、絶景が目の前に迫ってきました。

 姥ヶ滝は、高さおよそ100メートル。渓谷の岩肌をたくさんの筋に分かれて伝い落ちる姿が、まるで老婆の振り乱した髪のように見えることから、この名が付いたと言われています。蛇谷園地の駐車場から続く道は姥ヶ滝と谷川をはさんだ対岸を通っていましたが、その一番奥に広さ8畳程度の湯壺がありました。「親谷温泉」という名前なのだそうです。早速、タオル着に着替えて入浴するべにこさん。眼前に雄大な姥ヶ滝を見ながらの温泉は、ここでしか体験できません。今回の旅では、まだ小手調べの段階ですが、まずは上々のスタートとなりました。


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