9月5~10日に行われたバレーボールの女子ワールドグランドチャンピオンズカップ(WGC)は、リオデジャネイロ五輪金メダルの中国が優勝し、日本は2勝3敗で6チーム中5位だった。中田久美監督率いる新生全日本1年目の最後となった国際大会から、2020年東京五輪へ向けて見えてきたものは-。
12年ロンドン五輪で銅メダルを獲得したチームを評して、元日本バレーボール協会会長の松平康隆さんが生前、言っていた。「世界選抜チーム12人の中に少なくとも3人入れるようでないと、五輪でメダルは取れない。日本には木村沙織、竹下佳江、佐野優子の3人がいたからね」
その後、セッター竹下、リベロ佐野が引退し、エース木村もリオ五輪の後で現役を退いた。安心して任せられる後継者が固まらない状態で、2020年を目指す全日本を率いることになった中田監督。覚悟のうえとはいえ、チーム作りの「核」となる選手を探るところから、1年目が始まった。
とりわけ急務は、セッターの育成だった。5月に中田全日本が本格始動した時、元全日本の大林素子さんが「できるものなら今すぐにでも固定したいところ」と話したように、高さとパワーで劣り、スピードとコンビネーションで世界に挑む日本は、チーム力にセッターの力量が占める比重がどこよりも高い。
中田監督はリオ五輪代表の宮下遥(岡山)が7、8月のワールドグランプリ(WGP)あたりから膝痛を抱えていたこともあり、国際試合経験の少ない冨永こよみ(上尾)、佐藤美弥(日立)を起用し、経験を積ませながら資質の見極めをしてきた。今大会もベンチ入りセッターはこの2人。
結果的に、5試合中4試合に冨永が先発した。練習の状態なども見ての起用だったが、第1日の韓国戦にストレート勝ちした後、翌日はロシアに1-3で逆転負け。中田監督は記者会見で、第4セットをジュースの末に落としてフルセットに持ち込めなかった要因を聞かれ、「セッターだと思います」と答えた。
「点を取れるチャンスが何回もあったのにチャンスボールを相手に返していた。あってはならないこと。(その前にも)どのタイミングでセッターを代えようか迷っていましたが、思い切って代えるほど悪くもなく…」
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