会員限定記事会員限定記事

ロシアW杯、優勝争いを占う

連覇狙うドイツ、雪辱に燃えるブラジル

 現実に優勝を果たすかどうかは別として、大会の本命はドイツになる。ミュラー、エジル、クロース、ケディラ、フンメルス、ボアテング、ノイアーら多くの主力がそのまま残り、いずれもピークを過ぎた年齢には達していない。それぞれは「スーパースター」ではないかもしれないが、その分、特定の誰かが抜けてもチーム力が大きく低下することがない。

 リオ五輪や2017年のコンフェデレーションズ杯にはこの下の選手たちを送り込み、貴重な経験を積ませることで選手層を厚くすることに成功した。長期政権で継続的にチームを強化しているレーウ監督の戦術の下、どんな状況でも高レベルのサッカーを展開する。代表メンバーで2チームつくったとして、いずれのチームも優勝争いが可能だろう。あえて言えば、トップ起用が予想されるウェルナーらにトップレベルの実績がやや乏しく、大詰めの勝負で貴重なゴールを奪えるかどうか。しかし、周囲で絡むミュラー、エジルらもゴールを重ねており、ぜいたくな悩みではあろう。

 W杯連覇は1934、38年大会のイタリア、58、62年のブラジルしか過去に例がないという事実は重い。連覇が簡単であろうはずはない。前回W杯で「ドイツ強し」を印象づけたチームは、16年欧州選手権の準決勝ではフランスに0-2で敗れた。勝負に絶対はない。4強入りはまず間違いないものとして、大詰めの準決勝、決勝をどう勝ち取るか。得点パターンをどこまで確立できるかがカギを握る。

 母国開催の前回、準決勝でドイツに1-7と屈辱的な敗戦を喫したブラジルは南米予選の途中で就任したチチ監督がチームを大きく変えた。レアル・マドリード(スペイン)でプレーするカゼミロを守備的MFに抜擢し、一時代表を外れていたパウリーニョも呼び戻した。ボール奪取力の高い2人の共存で、守りから攻めに転じるスピードが大きく上がった。前線では21歳の新鋭FWガブリエルジェズスが成長し、ネイマールへの依存度が高かったサッカーから抜け出した。

 マルキーニョス、ミランダがセンターバックを担う守備も、MF陣との連係がよく安定している。不動の右サイドバックだったアウベスがけがで離脱。選手層の厚さではドイツに及ばず、主力選手の欠場で戦力がダウンするリスクはある。それでも、4強進出前に敗れることは想像しづらい。

 ただ、欧州開催の大会で優勝を果たした南米勢は、ペレ、ガリンシャ、ジジら多くの伝説的選手を擁した58年大会のブラジルのみ。こちらも「歴史への挑戦」になる。

新着

会員限定

ページの先頭へ
時事通信の商品・サービス ラインナップ