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WBC、「侍」のライバルたち

重要な豪州戦

 日本が2大会ぶり3度目の優勝を目指す野球の国・地域別対抗戦、ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)。ライバルとなる各チームの陣容、特徴、攻略のポイントなどを見てみよう。

 [第1次ラウンド]

 【キューバ】(3月7日に対戦)五輪で金メダル3個を獲得し、WBCでは06年の第1回大会の決勝で日本に敗れて準優勝。かつては「アマチュアの最強軍団」と言われた。近年、多くの選手が米国に亡命し、大リーグで活躍してきたが、今回大リーガーは参加しない。
 前ロッテのデスパイネ、元巨人のセペダ両外野手がメンバー入り。また、若手のセスペデス、サントス両外野手らの評判が高い。打力と走力を兼ね備えたセスペデスはメッツの外野手を兄に持つ期待の若手。外野のメサも走力があり、日本はスピードへの警戒が必要だろう。五輪で圧倒的な強さを誇ったころのパワー前面のチームから、スピードのある選手を生かした機動力を絡めた攻めに変化してきているようだ。
 アルバレス、V・ガルシア、L・マルティネスら前回の経験者が多い投手陣は、外野陣などに比べると前評判は高くない。それでも、微妙に動くボールを駆使した投球を攻略するのは、簡単なことではないだろう。救援陣にはスピードのある好投手がいる。

 【オーストラリア】(8日に対戦)WBCでは過去、1次ラウンド突破の経験がないが、日本には苦い思い出の残る相手だ。04年アテネ五輪では1次リーグ、準決勝と日本が連敗。銅メダルに終わった日本に対し、銀メダルを獲得した。北米でプレーする選手も増えてきており、体格に恵まれているだけに、甘く見るのは禁物な相手だ。
 投手陣にメジャー経験を持つ選手が多くそろった。アスレチックスのヘンドリクス、タイガースのソーポルド両右腕は最終段階で外れたが、楽天でもプレーしたメジャー9勝左腕のブラックリー、元マリナーズのローランドスミスらを擁す。元ヤクルトのデニング外野手らがメンバー入りした野手陣に比べ、投手力が売り物のチームだ。メジャーなどでの華々しい実績はなくても、クセ球を持つ投手が多い。打線の調子が上がらなければなかなか得点が奪えない試合展開になる可能性は十分にある。日本の先発投手には先制点を与えない投球を期待したい。中国を順当に破るとすれば、日本にとって1次ラウンドで最も重要な戦いと言えよう。

 【中国】(10日に対戦)前回のWBCではプロ軍団の日本に2-5と善戦し、ブラジル相手に勝利を収めた。五輪、WBCとも1次ラウンド突破の経験はないものの、実力は上がってきている。
 今回はメジャーで400試合に投げ、82勝を挙げた39歳の左腕B・チェンがエントリー。目玉選手として臨む。野手陣にも米マイナーリーグの経験者がおり、波乱を狙っている。日本はできれば早めに勝利を不動のものとし、未登板の投手なども起用して大会の雰囲気に慣れさせたいところだ。

 1次ラウンドは4チーム中上位2チームが2次ラウンドに進む。前回の2次ラウンドで台湾相手に負け寸前まで追い詰められたように、今回も楽観は許されないだろう。しかし、ここで脱落するようなら話にならない。苦戦はあるかもしれないが、順当に勝ち進んでくれるものと確信している。

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