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歴史に残る米大統領の就任演説

史上最短と最長の演説

 初代大統領のジョージ・ワシントンは一七八九年四月三十日に就任演説をニューヨークで行い、再選後の二期目の演説は九三年三月四日にフィラデルフィアで行った。

 この二期目の就任演説は「大統領としての任務を遂行せよと、再び国民から求められた」で始まる百三十語ほどの史上最短演説で、わずか二分で終了。大統領職に執着しなかったワシントンらしい簡潔さだった。

 逆に史上最長は、一八四一年三月四日に就任した第九代大統領のウィリアム・H・ハリソンが行った、実に八千四百四十五語に上る大演説。就任時の年齢が六十八歳(ロナルド・レーガンが一九八一年に六十九歳で就任するまでは最年長)と高齢だったにもかかわらず、ハリソンは、強風と厳寒の中で、帽子もかぶらず、手袋も着けず、オーバーも着ずに一時間四十分に及ぶ長広舌を振るった。

 このためハリソンは風邪を引き、肺炎を起こして、就任からちょうど一カ月後の四月四日に死去してしまった。ハリソンは何の実績も残せないまま、在任中に死去した最初の大統領として記憶されることになった。

 なお、この故事があったからか、レーガンが七十三歳の高齢で二期目の就任式に臨んだ一九八五年一月二十一日(二十日が日曜日で、式典は翌二十一日に行われた)には、氷点下の厳しい寒さがワシントンを襲ったため、宣誓式は議会の建物内部で行われ、恒例のパレードは中止となった。

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