「アルプスの少女ハイジ」に代表される風光明媚な「山と湖の国」が連想されるスイス。だが、牧歌的なイメージとは裏腹に世界有数の工学系大学や先進企業を擁する「イノベーション立国」の顔を併せ持つ。世界知的所有権機関(WIPO)などが発表した「技術革新力ランキング」でスイスは2014年、4年連続で1位(日本は21位)となった。スイス各地をめぐり、その隠れた「素顔」に触れた。
「今の太陽光パネル(の色)は本当に醜い。カラーパネルなら美しさと効率性を両立できる」。熱っぽく語るのは、ベンチャー企業「スイス・インソ」のラフィク・ハンバリ最高経営責任者(CEO)。これまで黒系しかなかった太陽光パネルに効率性を落とさず、色を付けることに成功した。
スイスのイノベーションを支える特徴の一つが、盛んな産学連携だ。同社も、西部レマン湖のほとりに位置する名門ローザンヌ工科大が産学連携の拠点として設置した「イノベーションパーク」に入居する。ローザンヌ工科大と協力し、10年以上の研究期間を経て、ナノテクノロジーを用いて着色したガラスを利用する太陽光パネルを開発した。
14年中に欧州とアラブ首長国連邦で実用化を始め、15年には米国に進出する予定。名前は明かさなかったが日本の大企業からも引き合いが来ているという。
美しさも合わせ持つカラーパネルが実用化すれば、「屋根だけでなく、建物の正面にも貼ることができるようになる」。そう力説するハンバリCEOは、カラーパネルに覆われ、自家発電できる家屋やビルが世界の省エネ化を進める未来像を描く。
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