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疾病予防の知識を村の人たちへ

日赤が取り組んできたもの

 多くの貧困層を抱え、海や険しい山岳地帯などにも阻まれ、保健医療の手が届きにくいフィリピン。日本赤十字社は約10年前から、フィリピン赤十字社を支援する形で、村の住民にボランティアになってもらい、健康教育を通じて疾病予防の知識を広く村人たちに伝える事業に取り組んでいる。

 併せて、給水設備やトイレ、保健所なども現地の資機材で整備して、使用方法やメンテナンス方法まで教えるといった幅の広い内容だが、一方で、こうした事業を通じ、海外で活躍できる日赤看護師を育成する狙いもあるという。

 2014年9月下旬から10月初旬まで、フィリピンを訪れ、事業の進捗状況確認と調整に当たった日赤国際部開発協力課の篠崎順治さんに、現地の様子を寄稿していただいた。


 ◇台風30号からの復興

 13年11月、フィリピンに甚大な被害をもたらした台風30号。日赤に寄せられた救援金は約18億円に上り、救援活動の他、セブ島における住宅再建やレイテ島における公共施設の修復などに充てられ、今なお、それぞれの地域で復興活動が続いています。

 その一方、「フィリピンでは、国民一人当たりに対する保健医療スタッフの数が圧倒的に少なく、ギャップを埋めるために、地域の村々で住民の健康事情に精通する村のヘルスワーカーや保健ボランティアの存在がとても重要になります」とフィリピン赤十字社のライアン保健部長は説明します。

 フィリピン赤十字社は「143(ワン・フォー・スリー)※」キャンペーンを推進して、地域の健康増進と災害対応能力の強化に取り組んでいます。

 日赤は、疾病予防と健康増進を目的に、保健ボランティアの育成や保健医療サービスの拡充、組織強化を活動の柱として、フィリピン赤十字社の保健活動を支援しています。

 世界には189の国や地域に赤十字があり、緊急救援時に限らず、このネットワークを使って支援活動ができることは、赤十字の大きな強みです。

 ※1人のリーダーの下に、9人の保健ボランティア、9人の防災ボランティア、25人の献血者(9+9+25=43)

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