日本相撲協会は4月28日に臨時理事会を開き、舞鶴巡業で市長があいさつ中に倒れた際の対応に端を発した、いわゆる土俵の「女人禁制」について対応を協議。終了後に八角理事長(元横綱北勝海)の談話を発表した。全文は次の通り。
(1)舞鶴市での不適切な対応について
京都府舞鶴市で行った巡業では、救命のため客席から駆けつけてくださった看護師の方をはじめ女性の方々に向けて、行司が大変不適切な場内アナウンスを繰り返しました。改めて深くおわび申し上げます。
舞鶴市の多々見良三市長の一日も早いご回復を心よりお祈り申し上げます。
大相撲は、女性を土俵に上げないことを伝統としてきましたが、緊急時、非常時は例外です。人の命にかかわる状況は例外中の例外です。
不適切なアナウンスをしたのは若い行司でした。命にかかわる状況で的確な対応ができなかったのは、私はじめ日本相撲協会(以下、協会といいます)幹部の日ごろの指導が足りていなかったせいです。深く反省しております。こうしたことを二度と起こさないよう、協会員一同、改めてまいります。
(2)宝塚市長に土俵下からのあいさつをお願いしたことについて
兵庫県宝塚市で行った巡業では、宝塚市の中川智子市長に、土俵下に設けたお立ち台からのあいさつをお願いしました。市長にご不快な思いをさせ、誠に申し訳なく恐縮しております。
あいさつや表彰などのセレモニーでも、女性を土俵に上げない伝統の例外にしないのはなぜなのか、協会が公益財団法人となった今、私どもには、その理由を改めて説明する責任があると考えます。
この問題は過去にも議論されたことがありました。そうした折りに歴代の理事長や理事は、だいたい次の3つの理由を挙げてきました。
第一に相撲(※1)はもともと神事を起源としていること、第二に大相撲(※2)の伝統文化を守りたいこと、第三に大相撲の土俵は力士らにとっては男が上がる神聖な戦いの場、鍛錬の場であること、の3つです。
第一の「神事」という言葉は神道を思い起こさせます。そのため、「協会は女性を不浄とみていた神道の昔の考え方を女人禁制の根拠としている」といった解釈が語られることがありますが、これは誤解であります。
【注】※1=相撲全般を指しています▽※2=相撲全般ではなく大相撲を指しています。以下、相撲と大相撲を区別して使います。
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