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大相撲、この1年

八角イズム着々

 久々の日本人力士の活躍などで多くのファンが湧いた2016年の大相撲。注目を集めた話題や力士にスポットを当てて1年を振り返る。

 強烈なリーダーシップを発揮した北の湖日本相撲協会理事長(元横綱)の急死から1年あまり。受け継いだ八角理事長(元横綱北勝海)の下で本場所は盛況が続いている。

 年6場所90日間での大入りは前年より2日増えて88日に達し、テレビ中継の視聴率も高水準で安定。それでも八角理事長は「良くなってきた時に就き、勢いで来られた」と控えめだ。

 組織を引き締め、かさんでいた国技館改修費などを見直した。相撲協会のある幹部は「あまり目立たないと思うが、(経費の増大傾向に)ストップをかけた勇気は評価されるべきだ」と話した。

 公益財団法人に移行して間もなく3年。近い将来の監査を想定して、16年末には各親方との契約を結び直す。年寄名跡証書の引き渡しを求めて先代と係争中で、現在は「無免許」に等しい状態となっている春日山親方(元幕内浜錦)には、その解消を迫る。新たな契約書には親方としての心構えを盛り込むなど、指導強化の狙いもある。

 地道に歩を進める中、懸念材料は3月の理事長選で争った貴乃花親方(元横綱)との関係だろう。同親方は巡業部長として各地を回り、力士を指導。その一方で、協会の行事を欠席することが多い。かつて「屋台骨を支えていく」と述べていたが、理事長との対立構図が垣間見える。

 相撲協会の将来を見据えれば、貴乃花親方は欠かせない人材。中堅、若手の親方から一定の支持も受けている。それだけに、最近の同親方の振る舞いや理事会での発言について、協会内から「残念でならない」との声も。不祥事が続いてファンに見放されていた相撲界。活況の今こそ、一枚岩で強固な体制を築く好機ではある。

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