コラム:遺影から聞こえた声
 スポーツ千夜一夜

日本相撲協会による協会葬の祭壇には、厳しい表情で正面を見据えた北の湖前理事長の遺影が飾られた=2015年12月22日、東京都墨田区の両国国技館【時事通信社】

 大相撲初場所が始まった。天皇・皇后両陛下をロイヤルボックスにご案内する八角理事長(元横綱北勝海)の緊張した面持ちを見て、改めて、もう北の湖さんはいないのだと、寂しさをかみしめた。

 12月22日に行われた日本相撲協会葬。遺骨を乗せた車が、国技館を出て行く頃、暖かかった冬の陽が、西向かいのホテルの影に隠れた。日陰になった国技館に、冷たい風が吹く。角界の今後を予感させる風景に見えたり、そんな想像を打ち消したりしながら、私も車に手を合わせた。

 遺影は、思った通りだった。正面を向き、カメラをにらむような厳しい顔。21歳で最高位に就き、いつも人に見られてきたためか、カメラを向けられると顔がこわばる。だから写真が嫌いな人だったが、遺影からは後輩たちに語り掛ける声も聞こえた。「お前たち、頼んだぞ、見ているぞ」

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