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コラム:犬と行く我が道(2014/5/11)
 スポーツ千夜一夜

 十数頭の犬にそりを引かせて雪原を1000マイル(約1600キロ)以上も走る長距離レースは、カナダや米アラスカ州では大変な人気があるという。そんなマッシャー(犬ぞり師)の世界に憧れ、カナダに渡って夢をかなえた本多有香さんが4月に一時帰国した際に、近況をうかがう機会があった。

 前回お会いしたのは2012年で、「最も過酷な犬ぞりレース」と呼ばれる「ユーコン・クエスト」(約1600キロ)で日本女性初の完走を果たした後だった。その後の2年で何か変化はあったかと尋ねると、うーんと数秒考えた後に答えが返ってきた。「犬小屋の数が増えて、餌入れの蔵も作りましたね。餌は外に置きっ放しだと野生動物が食べにくるので。のこぎりを使って自分で作りました」。飾り気のない言葉から、自分の道を一歩一歩と進んできた人らしさがにじみ出る。

 本多さんは09年にカナダ・ホワイトホース郊外に1カ月100ドルほどで土地を借り、チェーンソーを使って針葉樹の林の一角を切り開いた。最初の1本を切ったのは、37歳の誕生日だった。そこに約90万円で購入したキャビンを組み立てて住居とし、周辺に犬小屋を作って活動拠点とした。水道が通っていないため、水は車を使って近くの施設から運ぶ。電気はソーラーパネルから取るが、冬は日照時間が短いためローソクが欠かせない。現在は26匹の犬の世話をしながら次のシーズンに備えている。

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