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コラム:綱とり成って
 スポーツ千夜一夜

横綱昇進の伝達式を終え、母オユントゥグスさん(左)と父マンガラジャラブさん(右)に祝福のキスを受ける鶴竜(大阪市)【時事通信社】

 大相撲の大関鶴竜(28)=本名マンガラジャラブ・アナンダ、モンゴル出身、井筒部屋=が春場所で初優勝を遂げ、綱とり初挑戦で横綱昇進を決めた。地道な努力が報われたことを喜びたいが、その前に、場所終盤戦の展開に違和感を覚えたことを書こうと思う。モンゴルの先輩横綱である白鵬と日馬富士の失速があまりにも極端だったという話である。鶴竜の綱とりを後押しするために、自ら賜杯争いを降りたようにも見えた。

 11日目終了時点では両横綱が勝ちっ放しで並走していた。鶴竜は1敗で追走。ライバルの大関稀勢の里が日馬富士に敗れて3敗に後退したため、優勝争いは事実上、モンゴル勢3人に絞られた。このあたりで何か「流れ」ができたのではないか。残り4日間は、3者の間で直接対決が組まれる。その気になれば、どんな結末でもつくることが可能な状況だった。

 ここから先の展開が、偶然とは思えないほど出来過ぎている。まず、12日目に日馬富士が鶴竜に敗れたこと。日馬富士は過去22勝10敗で、最近1年でも4勝1敗だった。ところが今回は立ち合いに当たった直後にいなされると、的を失ったように前のめりになって簡単に送り出された。

 13日目は白鵬に土がつく。対戦した大関琴奨菊は右大胸筋のけがの影響で万全な状態には程遠い。過去の対戦成績も白鵬の38勝3敗で力の差は歴然としており、普通ならまず番狂わせはない一番だ。ところが、白鵬は自身の組み手である右四つとしながら終始後手に回って敗れた。

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