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コラム:心のベストスコア
 スポーツ千夜一夜

フリースタイルスキー女子モーグルで悲願のメダルにあと一歩届かず、涙を拭うしぐさを見せる上村愛子(2014年02月08日、ソチ)【時事通信社】

 ソチ冬季五輪のフィギュアスケート女子で韓国の金妍児が2位に終わった後、同国で不満が噴き出した。逆転優勝した地元ロシアのアデリナ・ソトニコワに得点が偏ったという批判が高まり、韓国スケート連合は国際スケート連盟に採点が公正に行われたか調査するよう要請。サイト上では採点のやり直しを求める署名が実に200万件も集まったという。当初は「終わったことには満足している」と言うにとどめていた金妍児も、後に「全てが不合理だ」とこぼした。時には競技者と関係者だけでなく、その周囲でも議論が過熱する採点競技らしい出来事だった。

 主観に頼る部分も多いから、万人が納得するような採点を望むことは難しい。しかし一方で、それだからこそ際立つ美しさをソチ五輪で見たような気がした。フリースタイルスキー女子モーグルで惜しくも4位に終わった上村愛子である。5度目の五輪でもメダルの夢はかなわなかったが、全力を尽くすことの意味を見せてくれた。

 上村は18歳で挑んだ1998年長野五輪で7位に入り、2002年ソルトレークシティー五輪で6位。06年トリノ五輪は5位、前回のバンクーバー五輪は4位にとどまった。「どうしてこんなに一段一段なんだろう」。4年前にこぼした言葉が当てはまるなら今回こそメダルのはずだったが、悲願はあと一歩のところで実らずに終わった。

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