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コラム:稲妻のサイクル
 スポーツ千夜一夜

モスクワ世界選手権100メートルで優勝したボルト。前回大会はフライングで失格。試練を乗り越えて、王座を奪還した(2013/08/11、ロシア・モスクワ)【時事通信社】

 2013年8月、陸上競技の世界選手権がモスクワで開催された。注目のスプリンター、ウサイン・ボルト(ジャマイカ)は、100メートルを9秒77、200メートルを19秒66で制し、その実力を改めて証明した。前回大会の100メートルでフライングにより失格した汚名も返上して、短距離王の名を不動のものとした。

 大会前に、ボルトのライバルたちが続々と欠場した。長年、しのぎを削ったタイソン・ゲイ(米国)はドーピング検査に引っかかり、シーズン早々に戦線を離脱した。07年世界王者のゲイは、全米選手権100メートルで今季世界最高の9秒75をマークして優勝。「今なら誰にでも勝てそうな気がする」と語っていた米国の星が、残念な報道の対象となり、表舞台から姿を消した。

 さらに、ボルト最大のライバルと目されていたヨハン・ブレーク(ジャマイカ)は、右太ももの裏の故障により世界選手権の出場を見送った。前回大会王者の23歳にも、試練が待っていた。15年北京世界選手権、16年リオデジャネイロ五輪までに致命的とも言えるけがを克服できるだろうか。

 ライバルが不在だったこともあり、今回の世界選手権はボルトの「タイムトライアル」に見えたかもしれない。12年のロンドン五輪で見せた火花散る勝負は望めず、ボルトの能力の高さしか伝わってこなかったことも否めない。

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