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コラム:数字を超えるもの
 スポーツ千夜一夜

巨人-広島戦の始球式でストライクを宣告する球審の安倍晋三首相(中央)。右は長嶋茂雄氏、左は松井秀喜氏(2013/05/05、東京ドーム)

 5月5日、こどもの日。プロ野球の大スターだった元巨人監督の長嶋茂雄さんと、日米で活躍した松井秀喜さんに国民栄誉賞が贈られた。表彰式の後に行われた巨人―広島戦の始球式では、背番号96をつけて登場した安倍晋三首相のはしゃぎようが少々見苦しかったものの、2人の同時受賞は案外いいアイデアだと思えた。

 なぜこの時期に、しかも2人同時に…と批判的な人もいた。長嶋さんについては、元気なうちに表彰しようという判断だ。元横綱大鵬の納谷幸喜さんが1月に亡くなった後、国民栄誉賞を贈ったことに対して「なぜもっと早く表彰しなかったのか」と悔やむ声があった。確かにその通りで、元気なうちに表彰して大鵬さんの笑顔を見たかった人は多かったことだろう。長嶋さんもユニホームを脱いでから年月がたち過ぎ、表彰のタイミングを逃していたのだが、「弟子」である松井さんの引退と抱き合わせにすれば大義名分は成り立つ。

 松井さんに関しては、表彰理由の乏しさを指摘する声も聞かれた。実際、彼自身も表彰式のスピーチで戸惑いを正直に表現している。

 「この賞をいただき大変光栄ですが、同じぐらいの気持ちで恐縮もしております。私は王(貞治)さんのようにホームランで、衣笠(祥雄)さんのように連続試合出場で世界記録をつくれたわけではありません。長嶋監督の現役時代のように日本中のファンの方々を熱狂させるほどのプレーができたわけでもありません…」

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