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コラム:夢を分け合う
 スポーツ千夜一夜

エベレストの山塊に向かう栗城さん(2012年9月、栗城事務所提供)

 若い世代がテレビを見なくなったといわれる。我が家の大学生の娘に聞いても、「うーん、面白くないからね」とそっけない。中学、高校生の頃もテレビの番組がクラスで話題になることはめったになかったそうだ。インターネットや携帯電話が若者をテレビから引き離したとの指摘もあるが、外的な原因が全てではないだろう。

 このところずっと、未知の世界への驚きや憧れを呼ぶ番組が少なくなったと感じていた。平成の初頭ぐらいまでは、民放にもドキュメンタリーや紀行もので秀逸なものがあった。「驚異の世界」「野生の王国」「すばらしい世界旅行」などがすぐに思い浮かぶし、「兼高かおる 世界の旅」という旅情に満ちた番組も懐かしい。

 1980年代終盤にバブル景気が到来し、実直なものがどこか気恥かしいものとされた時代に、こうした骨太の番組は姿を消していった。その後はどうも妙にひねり、ものごとの皮肉な捉え方をした番組が増えた印象がある。その延長線にあるのが、行き先を見失ったような今なのではないか。ひな壇に芸人を並べ、はしゃぐばかりの番組を見ても、あまり得をした気にはならない。

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