コラム:オレのダンディズム
 スポーツ千夜一夜

ロッテの新監督に就任し、記者会見に臨んだ稲尾和久さん。通算276勝を挙げた大投手。西鉄・太平洋、ロッテで監督を歴任した。3年間率いたロッテでは2位が2度。優勝には届かなかったが、落合博満は同監督の下で三冠王に2度輝いた=1983年11月16日【時事通信社】

 落合さんのロッテ在籍時代に、稲尾さんは3年間監督を務めている。正力賞の会見後、落合監督に稲尾さんのことを問うと、シーズン中とは別人のように多弁になったことを思い出す。故人への思いがひしひしと伝わってくる話し方で、落合さんという人は、胸の内にいろんなものが詰まっている人なのだと感じた。

 「うちに遊びにきて、女房の手料理を食べたり酒を飲んだりしながら、野球の話をしたことが何度もありましたよ」

 「バッティングの調子がすごく悪くて、5月いっぱいまで打率が1割台のことがあった。それでも稲尾さんから『何があっても4番は外さないよ』と言われてね」

 とりわけ印象的だったのは、落合さんが采配に関する疑問をぶつけても、稲尾さんは耳を傾けてくれたという話。チームの選手と監督という立場を超えて議論ができたのだという。そして思い出話の最後に、落合監督は「人のいい、優しい人でしたね。それと勝負事は別なんでしょうが」とも付け加えた。いろんな解釈ができる一言ではあるが、「オレ流」といわれてきたものが、ちらりと見えた気がした。

バックナンバー

特集

コラム・連載

ページの先頭へ
時事通信の商品・サービス ラインナップ