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コラム:続く長いトンネル
 スポーツ千夜一夜

必勝を期したトンガ戦に敗れた後、観客席にあいさつするラグビー日本代表。初の2勝をもくろんだ今回のW杯は3敗1分けに終わり、20年ぶりの勝利もならなかった=2011年9月21日、ニュージーランド・ファンガレイ【AFP=時事】

 ニュージーランドでのラグビー・ワールドカップ(W杯)で、日本代表は3敗1分けと勝利をつかめず、1次リーグA組の最下位で敗退した。ジョン・カーワン・ヘッドコーチが大会前に掲げた2勝の目標に届かなかったばかりか、1991年大会のジンバブエ戦以来のW杯2勝目も逃し、極めて厳しい結果になった。

 最初のフランス戦は後半途中で一時4点差まで迫る健闘を演じた。しかし、その後はニュージーランドに惨敗。必勝を期したトンガ戦を落とすと、最後のカナダ戦は前半の10点リードから追いつかれて勝利を逸した。結局、前回大会と同じ3敗1分け。「この4年間で、世界の中で日本が最も成長したチームであることを示したい」(カーワン・ヘッド)という首脳陣のもくろみは、夢と散った。8年後、自国開催のW杯である程度の成績を挙げるという前提で考えると、暗たんたる思いになるのは、私だけではないだろう。

 カーワン・ヘッドは1次リーグ後半のトンガ戦、カナダ戦の勝利を描き、初戦のフランス戦の結果いかんでは、8強入りの可能性をうかがえるような戦いをもくろんでいた。選考した30人の代表選手のうち、外国出身者が10人。日本のファンが感情移入できないという声もある中、「今の日本には、まだ彼らの力が必要」として重要なポジションに据えた。

 フランス相手にまずまずの戦いを見せた後、ニュージーランド戦では主力とみられた選手を多数温存した。優勝候補筆頭の強豪国に、格下の日本がメンバーを落とす一見不思議な策。これも、中4日で続くトンガ戦によりよいコンディションで臨むためだった。つまり、多数の外国出身選手起用も、ニュージーランド相手に主力を温存したのも、すべては「大会2勝」の目標を果たすため。それが完全に失敗に終わったからには、批判が噴出するのも無理からぬことだ。

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